[ストーリー] 2011年、イタリア・トスカーナ州シエナの街は、ある裁判の話題で持ちきりだった。4年前にイギリス人留学生エリザベスが殺害され、世界的な関心を呼んだ事件の控訴審が始まろうとしているのだ。この事件の映画化をオファーされた気鋭の監督トーマス・ラングは、リサーチのために現地に乗り込むが、そこで彼が目の当たりにしたのは大衆向けに扇情的な報道を繰り返すメディアの実態だった。
はたして被告のセクシーなアメリカ人留学生ジェシカは、本当にエリザベスを殺したのか。その真偽が不確かな状況のもと、制作上の迷いに苦しむトーマスは、天真爛漫な女子学生メラニーの励ましに心癒され、被害者エリザベスとその遺族に寄り添った映画を作ろうと決意する。やがてその試みは、離婚した妻との間で愛娘の親権を争っているトーマス自身の行き詰まった人生にも変化をもたらすのだった――。[プレスより]
『イタリアは呼んでいる』のヒットも記憶に新しいマイケル・ウィンターボトム監督の新作です。その題材は、2007年にイタリアで起こり、世界の注目を集めたペルージャ英国人女子留学生殺人事件。ウィンターボトムは実話をそのまま映画化するのではなく、登場人物の名前や舞台となる街を変更し、トーマスという架空の主人公を創造し、独自の世界を構築しています。
個人的には、IMDBの評価があまりにも低いのが以前から気になっていた作品でした。そういう評価をする人の気持ちもわからないではありませんが、筆者は気に入っています。
レビューのテキストは準備中です。いろいろ書きたくなる作品ですが、たとえばウィンターボトムとイタリアの繋がりです。彼が以前にイタリアで撮った『ジェノヴァ(原題)』(08)では、ジェノヴァの迷路のような裏通りが登場する家族の内面を象徴していましたが、新作ではそれを発展させたようなアプローチを見ることができます。2作品は死と喪失というテーマでも深く結びついています。
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