潜水艦クルスクの生存者たち
Kursk


2018年/フランス=ベルギー=ルクセンブルク=ルーマニア=カナダ=アメリカ
/英語・ロシア語/カラー/117分/シネスコ/5.1ch
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(初出:)

 

 

プーチン大統領就任から3ヶ月
現在のロシアへの分岐点となった原子力潜水艦事故があった

 

[Introduction] 2000年、ロシアで実際に起きた未曽有の原子力潜水艦事故を、当時の関係者の証言や緻密なリサーチをもとに、豪華キャスト&制作陣で完全映画化。監督は、『偽りなき者』『アナザーラウンド』トマス・ヴィンターベア(『アナザーラウンド』の前に手がけた作品)。脚本は『プライベート・ライアン』のロバート・ロダット。主人公の司令官ミハイルを、『君と歩く世界』や『リリーのすべて』のマティアス・スーナールツ、その妻ターニャを、『アデル、ブルーは熱い色』や『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』のレア・セドゥ、演習の指揮を執るグルジンスキー海軍司令長官を、『ありがとう、トニ・エルドマン』のペーター・ジモニシェック、イギリスのデヴィッド海軍准将を、『英国王のスピーチ』や『オペレーション・ミンスミート ―ナチを欺いた死体―』コリン・ファース、ペトレンコ海軍大将を、『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』マックス・フォン・シドー、ミハイルと親しい乗艦員のアントンとオレグ、パヴェルを、『汚れたダイヤモンド』アウグスト・ディール『アナザーラウンド』マグナス・ミラン、『沈黙のレジスタンス』のマティアス・シュヴァイクホファーが演じる。(プレス参照)

[Story] ロシア海軍の北方艦隊が誇る原子力潜水艦「クルスク」。総勢118名の乗艦員たちは、10年ぶりの大規模合同演習に出航する。しかし、搭載した魚雷が過酸化水素漏れから爆発を引き起こし、船体は大破。壊滅的なダメージを負ったクルスクは海底に沈没し、身動きが取れなくなってしまう。不穏な報せを聞いた家族には正確な情報は伝えられず、イギリスなど諸外国が支援を発表するが、ロシア政府は国家機密を守ることを優先し、クルスクに近づくことを許さなかった。地上との通信は途絶え、次々と仲間が息絶える中、奇跡的に23人の男たちが生き残る。だが、脱出不可能な艦尾に閉じ込められ、完全に孤立した彼らは、今にも尽きそうな酸素で命をつなぎながら、わずかな希望にすがって救助を待つしかなかった。刻一刻と”命の時間”が失われていく中、絶体絶命の窮地を生き延び、愛する家族のもとへ生還することができるのか――。

 ニューズウィーク日本版の筆者コラム「映画の境界線」で本作を取り上げています。その記事をお読みになりたい方は以下のリンクからどうぞ。

プーチン大統領就任から3ヶ月、現在のロシアへの分岐点となった原子力潜水艦事故があった|『潜水艦クルスクの生存者たち』


◆スタッフ◆
 
監督   トマス・ヴィンターベア
Thomas Vinterberg
脚本 ロバート・ロダット
Robert Rodat
原作 ロバート・ムーア
Robert Moore
撮影 アンソニー・ドット・マントル
Anthony Dod Mantle
編集 ヴァルディス・オスカードゥティル
Valdis Oskarsdottir
音楽 アレクサンドル・デスプラ
Alexandre Desplat
 
◆キャスト◆
 
ミハイル・アヴラン第七区画司令官   マティアス・スーナールツ
Matthias Schoenaerts
ターニャ・アヴラン レア・セドゥ
Lea Seydoux
グルジンスキー海軍司令長官 ペーター・ジモニシェック
Peter Simonischek
アントン・マルコフ アウグスト・ディール
August Diehl
ペトレンコ海軍大将 マックス・フォン・シドー
Max von Sydow
デヴィッド・ラッセル海軍准将 コリン・ファース
Colin Firth
オレグ・レベデフ マグナス・ミラン
Magnus Millang
パヴェル・ソニン マティアス・シュヴァイクホファー
Matthias Schweighofer
-
(配給:キノシネマ)
 

 本作を観ていて筆者がすぐに思い出したのは、アレックス・ゴールドファーブとマリーナ・リトビネンコの『リトビネンコ暗殺』のこと。この事故が起こった頃のロシアの状況がよくわかり、事故が持つ意味も変わってくる。そのことはニューズウィーク日本版の記事で書いたが、そこで触れなかったものの、印象深かったことを以下に引用しておきたい。

 ウラジーミル・プーチンを大統領の地位につかせた仕掛け人は、オリガルヒ(新興財閥)のボリス・ベレゾフスキーだが、彼が振り返るプーチンの人物像というのが興味深かった。

「プーチンはそもそも自分の使命を、政治的な観点から理解したことが一度もない、とボリスは振り返った。”忠誠心があり、誠実”ではあるが、どんな政治理念も持たない”発育不充分な人物”だと。プーチンのアイデンティティは、柔道のチーム、FSB、サンクトペテルブルクのリベラル派やファミリーなど、所属する集団によってつねに定められてきた。彼のメンタリティは、子供のころの不良グループから派生したものであり、ものごとの本質より”われわれ”という考え方が重視される。”われわれ”対”彼ら”の図式なのだ――たとえ”彼ら”が残りの全世界を意味しようとも」

《参照/引用文献》
『リトビネンコ暗殺』 アレックス・ゴールドファーブ&マリーナ・リトビネンコ●
加賀山卓朗訳(早川書房、2007年)

(upload:2022/03/21、update:2022/04/07)
 
 
《関連リンク》
アンドレイ・ネクラーソフ・インタビュー 『暗殺・リトビネンコ事件』 ■
トマス・ヴィンターベア 『アナザーラウンド』 レビュー ■
トマス・ヴィンターベア 『偽りなき者』 レビュー ■
トマス・ヴィンターベア 『光のほうへ』 レビュー ■
トマス・ヴィンターベア 『ディア・ウェンディ』 レビュー ■
トマス・ヴィンターベア 『セレブレーション』 レビュー ■
トマス・ヴィンターベア・インタビュー01 『セレブレーション』 ■
トマス・ヴィンターベア・インタビュー02 『ディア・ウェンディ』 ■

 
 
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