[ストーリー] ロンドン郊外の安アパートに住む請負労働者トムと小学校教師アナの夫妻。シカゴから再起を誓い移住して来たふたりは、祖母から相続した屋敷を改築し子供を持ち幸せに暮らすという夢を抱いていた。ある日、トムの元にひとつの通知が届く。“退去勧告”。政府による金融引き締め政策と外国人労働者への取り締まり強化により、ふたりは経済的に追い込まれていた。
途方に暮れる中、思わぬ事態が訪れる。階下の住人が3500万円の大金を残して突然死したのを発見したのだ。持ち主不在の3500万円。近づく、退去期限。そして、ふたりは遂に金に手を出してしまう。慎ましやかな夢を叶えるために。しかし、それは絶対に手を出してはいけない金=黒金(くろがね)だった。金を巡りマフィア、麻薬密売組織、そしてある事件の復讐を誓う刑事がふたりに迫る。つかの間の“安心”を手に入れたふたりが掴んだのは、恐ろしい陰謀が蠢く闇世界への切符だった。[プレスより]
母国デンマークで評価され、海外にも活躍の場を広げている監督といえば、トマス・ヴィンターベア(『セレブレーション』、『アンビリーバブル』、『偽りなき者』)、スサンネ・ビア(『ある愛の風景』、『アフター・ウェディング』、『悲しみが乾くまで』)、ロネ・シェルフィグ(『幸せになるためのイタリア語講座』、『17歳の肖像』、『ワン・デイ 23年のラブストーリー』)、ニコラス・ウィンディング・レフン(『プッシャー』、『ドライブ』、『オンリー・ゴッド』)、ニールス・アルデン・オプレヴ(『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』、『デッドマン・ダウン』、『スピード・ウォーキング(英題)』)といった名前が思い浮かぶ。
ヘンリク・ルーベン・ゲンツ監督も『ハッダーの世界』、『チャイナマン(英題)』、『テリブリー・ハッピー(英題)』、『エクスキューズ・ミー(英題)』といった作品でデンマークで評価され、この『パーフェクト・プラン』でアメリカ映画を手がけることになった。ジェームズ・フランコ、ケイト・ハドソン、トム・ウィルキンソン、オマール・シーと、キャストもなかなか豪華だ。
但し、ゲンツが選んだ題材には疑問が残る。彼はこれまで共通するテーマを追求してきた。ファンタジックな『ハッダーの世界』(03)では、父親と暮らす孤独な少年が、現実と幻想の境界を行き来しながら問題を抱えた同級生と友情を築いていく。『チャイナマン(英題)』(05)では、妻から三行半を突きつけられた主人公の配管工が、財産分与の資金を調達するために中国人の女性と偽装結婚をするが、それが新たな関係の始まりとなる。 |