マサン(原題)
Masaan Fly Away Solo (2015) on IMDb


2015年/インド=フランス/ヒンディー語/カラー/109分/
line
(初出:)

 

 

ガンジス川のほとりで伝統と変化がせめぎあう聖地バラナシ
生と死が交錯する世界から浮かび上がるイニシエーション

 

 アヌラーグ・カシャップ監督の『血の抗争/Gangs of Wassepur』(12)と『アグリー(原題)/Ugly』(13)で助監督とセカンド・ユニット監督を務めたニーラジ・ケーワンの長編デビュー作です。リテーシュ・バトラ『めぐり逢わせのお弁当』(13)と同じように、インドとフランスの合作になっています。

 この映画では、ガンジス川のほとりにある聖地バラナシ(ワーラーナシー)を舞台に、異なるふたつの物語が並行して描かれ、最後に結びついていきます。バラナシには長い歴史を持つ火葬場がありますが、その火葬場も物語のなかで重要な位置を占め、生と死が交錯していくことになります。

 一方の物語の主人公は、女子大生のデヴィ。彼女は大学で知り合った若者と安ホテルで密会しているところを、悪徳警官に踏み込まれる。そして写真を撮られたうえに、相手の若者が自殺してしまう。悪徳警官は、デヴィと彼女の父親を恐喝する。デヴィは罪悪感に苛まれ、自分を見失った父親は、孤児のジョンタと組んで、危険なギャンブルで金を調達しようとする。

 もう一方の物語の主人公は、火葬を職業とする下位カーストの家庭に育ったディーパック。彼はエンジニアを目指して大学で学んでいる。そんなディーパックが、偶然出会った上位カーストの娘と恋に落ち、階層の壁を乗り越えようとするが――。

 背景にあるのは伝統に支配された世界ですが、ディーパックと娘がfacebookを通して親しくなったり、悪徳警官がスキャンダルをネットに暴露すると脅迫するように、社会の変化も反映されています。どちらの物語も、ガンジス川や死と結びつけられ、閉鎖的な街や伝統に囚われたデヴィとディーパックのイニシエーション(通過儀礼)を描いたドラマと見ることもできます。


◆スタッフ◆
 
監督   ニーラジ・ケーワン
Neeraj Ghaywan
脚本 Varun Grover
撮影 Avinash Arum
編集 Nitin Baid
音楽 Bruno Coulais, Indian Ocean
 
◆キャスト◆
 
Devi Pathak   Richa Chadda
Vidyahar Pathak Sanjay Mishra
Deepak Chaudhary Vicky Kaushal
Sadhya Ji Pankaj Tripathy
Doctor Chaudhary Vinit Kumar
Inspector Mishra Bhagwan Tiwari
Sikander Chaudhary Bhupesh Singh
Vikram Mallah Satya Kam Anand
-
(配給:)
 

 

(upload:2016//)
 
 
《関連リンク》
マニーシュ・グプタ 『ラハシャ(原題)』 レビュー ■
アヌラーグ・シン 『パンジャーブ 1984(原題)』 レビュー ■
アヌラーグ・カシャップ 『アグリー(原題)』 レビュー ■
サンゲ・ドージー・ソンドク 『クロッシング・ブリッジス(原題)』 レビュー ■
スジョイ・ゴーシュ 『女神は二度微笑む』 レビュー ■
アヌラーグ・バス 『バルフィ!人生に唄えば』 レビュー ■
カウリー・シンデー 『マダム・イン・ニューヨーク』 レビュー ■
キラン・ラオ 『ムンバイ・ダイアリーズ(英題)』 レビュー ■
『ムトゥ 踊るマハラジャ』 レビュー ■
インド映画のなかのタミル語映画
――『ヤジャマン』『アルナーチャラム』『アンジャリ』をめぐって
■
『ジーンズ/世界は2人のために』 レビュー ■

 
 
 
amazon.comへ●
 
ご意見はこちらへ master@crisscross.jp