[ストーリー] 2年前、毒ガスによる地下鉄無差別テロ事件で多くの犠牲者が出たコルカタの国際空港に、美しき妊婦ヴィディヤが降り立った。はるばるロンドンからやってきた彼女の目的は、一ヵ月前に行方不明になった夫のアルナブを捜すこと。しかし宿泊先にも勤務先にもアルナブがいたことを証明する記録は一切なく、ヴィディヤは途方に暮れてしまう。やがてアルナブに瓜ふたつの風貌を持つミラン・ダムジという危険人物の存在が浮上。それを知った国家情報局のエージェントが捜索に介入し、ヴィディヤへの協力者が何者かに殺害される緊迫の事態に発展していく。
はたしてアルナブはミランと同一人物なのか、それとも人違いで何らかの陰謀に巻き込まれたのか。少々頼りなくも誠実な警察官ラナの協力を得て、なおも夫捜しに執念を燃やすヴィディヤは、2年前の無差別テロと結びつく驚愕の真相に迫っていくのだった――。[プレスより]
スジョイ・ゴーシュ監督のインド映画『女神は二度微笑む』は、ロンドンに住む身重のヒロイン、ヴィディヤが一ヶ月前に失踪した夫アルナブを捜すために大都市コルカタを訪れるところから始まる。ところがその捜索からは、夫と瓜二つの危険人物ミランの存在や二年前に起こった地下鉄無差別テロ事件との関連性が浮上し、手がかりを握る人物が次々に殺害され、驚愕の結末に至る。
すでにハリウッドでのリメイクも決まっているこの映画でまず注目したいのは、主演のヴィディヤー・バーランと彼女が体現するヒロイン像だ。バーランは以前から実力派として認知されていたが、女性を中心に据える最近のインド映画のトレンドに乗ってさらに輝きを放ち、ギャラも急上昇している。
99年にモデルのジェシカ・ラールが有力政治家の息子に射殺された事件に基づく『No One Killed Jessica』では、ジェシカの姉サブリナに扮し孤軍奮闘する。権力を使って罪を逃れようとする実行犯を最終的に追いつめるのは、もうひとりのヒロイン、ラーニー・ムカルジー扮するジャーナリストだが、ヴィディヤーにとってこの役は、その後の作品に繋がるステップボードになっている。
つづく『The Dirty Picture』では、80年代に南インドで一世を風靡したセクシー女優シルク・スミタに扮し、既成の価値観に揺さぶりをかける挑発的で官能的な魅力を放っている。 |