[ストーリー] アンジャリ・アラカルは、金持ちや有名人の自伝を手がけるゴーストライターとして生計を立てているフリーのジャーナリストだ。そんな彼女は新たな依頼人、退職を控えた刑務所長を訪問したときに、C・K・ラーガヴァンという男に出会う。彼は二人の女性を殺害した罪で服役し、刑期を終えてもどこにも行くあてがなく、自らの意思で刑務所に留まっていた。
アンジャリが彼に興味を持ったのは、自分は誰も殺していないと彼女に囁いたからだ。所長の自伝のリサーチのためにラーガヴァンにインタビューした彼女は、彼が綴っていた日記からその文才に気づき、英語の雑誌に彼に関する記事を書いた。その記事はたちまち話題になり、ムンバイの出版社から本の話が舞い込む。
ラーガヴァンが回想録を書き、アンジャリがそれを英訳することになった。アンジャリはラーガヴァンのために静かな部屋を用意するが、彼の筆は一向に進まず、彼女は次第に追い詰められていく。
80年代から映画界でカメラマンとして活躍し、ナショナル・フィルム・アワードの最優秀撮影賞を三度受賞しているヴェーヌの監督作で、撮影も手がけています。アリの群れがトカゲの死骸を運んでいく様子を俯瞰でじっくりととらえたスタイリッシュなオープニングが示唆するように、ヴィジュアルなストーリーテリングを重視した作品です。
ゴーストライターという裏方から、脚光を浴びる機会をつかんだアンジャリが、次第に追い詰められていくドラマには緊張が漂い、息を呑む結末まで画面から目が離せません。
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