[Introduction] 2014年度のアカデミー賞外国語映画賞の栄冠を手にした『イーダ』で、唯一無二の才能を全世界に知らしめたパヴェウ・パヴリコフスキ監督最新作。第71回カンヌ国際映画祭に正式出品され、光と影のコントラストでモノクロなのに鮮烈としか言いようのない映像と、愛し合う男女の引き裂かれてはなお一層求め合う行方の分からないストーリー展開、さらに二人の心情を奏でる音楽が絶賛され、見事監督賞を獲得した2019年最高の話題作が、遂に日本を陶酔させる。
ポーランド、ベルリン、ユーゴスラビア、パリを舞台に、西と東に揺れ動き、別れと再会を繰り返して15年。過酷だがドラマティックでもあった時代に流されながらも、「黒い瞳を濡らすのは一緒にいられないから」と、愛を知る者なら誰もが魂を揺さぶられる「2つの心」という名曲で結ばれ、互いへの燃え上がる想いだけは貫こうとする二人。民族音楽と民族ダンス、さらにジャズにのせて、髪の毛1本、草の葉1枚、そよぐ風と揺れる水面まで、すべてのショットが私たちの生きる世界はこんなに美しかったのかと教えてくれる映像で綴る、心と五感を刺激する極上のラブストーリー。(プレス参照)
[Story] 冷戦に揺れるポーランドで、歌手を夢見るズーラとピアニストのヴィクトルは音楽舞踊団の養成所で出会い、恋におちる。だが、ヴィクトルは政府に監視されるようになり、パリに亡命する。ズーラは公演で訪れた先でヴィクトルと再会、幾度かのすれ違いを経て共に暮らし始める。しかし、ある日突然ズーラはポーランドへ帰ってしまう。あとを追うヴィクトルに、思いもかけぬ運命が待ち受けていた。
ニューズウィーク日本版の筆者コラム「映画の境界線」で本作を取り上げています。その記事をお読みになりたい方は以下のリンクからどうぞ。
● 冷戦下の時代に翻弄される音楽と男女の軌跡を描く|『COLD WAR あの歌、2つの心』 |