[ストーリー] 建築中のマンションを購入した若い夫婦バルテクとベアタが、新居が完成するまでのしばらくの間、ふたりの幼い息子たちとともに、夫の母親テレサのもとに仮住まいする。ところが、デベロッパーが倒産し、夫婦は新居も購入に費やした大金も失ってしまう。母親のアパートは、三世代が暮らすには手狭で、独善的なテレサと苦境を乗り越えようとするベアタの間に対立が起こり、一家は悲劇的な結末へと突き進んでいく。
実話に基づくクシシュトフ・クラウゼ監督の『借金』(99)では、共産主義から資本主義へと移行したポーランド社会のなかで、起業家を目指すふたりの若者が、人の弱みにつけ込んで金を搾り取るギャングに出会ってしまい、悪夢のスパイラルへとエスカレートしていった。同じく実話にインスパイアされたこの『救世主広場』(06)にも、共通するテーマが引き継がれている。
筆者は『借金』のレビューで、この映画とダニー・ボイルの『シャロウ・グレイヴ』(95)と結びつけたが、『救世主広場』にも注目すべき接点がある。どちらの映画でも、閉ざされた空間のなかで、主人公たちの感情や利己的な性格が露になっていく。しかもこの映画の方が、その空間がより深い意味を持っている。
『シャロウ・グレイヴ』の場合は、サッチャリズムを象徴するような同世代の3人の若者たちの欲望や性格が暴き出される。この映画の場合は、若い夫婦と夫の母親が主人公になることで、閉ざされた空間が社会の縮図になる。彼らの違いは世代だけではない。テレサやバルテクが都会人であるのに対して、ベアタは地方の農家の出身であることも、ドラマに反映されている。 |
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◆スタッフ◆ |
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監督/脚本 |
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ヨアンナ・コス=クラウゼ、クシシュトフ・クラウゼ
Joanna Kos-Krauze, Krzysztof Krauze |
撮影 |
ヴォイチェフ・スタロン
Wojciech Staron |
編集 |
クシシュトフ・シュペトマンスキ
Krzysztof Szpetmanski |
音楽 |
Pawel Szymanski |
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◆キャスト◆ |
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Beata |
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ヨヴィタ・ブドニク
Jowita Budnik |
Bartek |
Arkadiusz Janiczek |
Teresa |
Ewa Wencel |
Dawid |
Dawid Gudejko |
Adrian |
Natan Gudejko |
Edyta |
Beata Fudalej |
Ola |
Malgorzata Rudzka |
Hania |
Zina Kerste |
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(配給:) |
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