キンズメン / ルドレシュ・マハンサッパ
Kinsmen / Rudresh Mahanthappa (2008)


 
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(初出:)

 

 

若きマハンサッパにインスピレーションをもたらした
インドのサックスの巨匠カドリ・ゴパルナスとの共演

 

 ルドレシュ・マハンサッパ(Rudresh Mahanthappa)は、ニューヨークを拠点に活動するインド系のサックス奏者/コンポーザーだ。マハンサッパは、ピアニストのヴィジェイ・アイヤーやギタリストのレズ・アバシとインド/パキスタン・コネクションといえるような密接な繋がりを持っているが、創作に関して他のふたりとは異なるアプローチが目立つ。

 アイヤーやアバシは、ある程度メンバーが定まったグループでオリジナリティを追求しているのに対して、マハンサッパの場合は異なるミュージシャンとのコラボレーションが目立つ。

 たとえば、マーク・ドレッサー(b)、ジェリー・ヘミングウェイ(ds)と組んだ『Mauger』、アイヤーとのデュオ『Raw Materials』、アバシとドラマー/タブラ奏者のダン・ワイスと組んだ『Apti』、エレクトロニクスやコンピュータも駆使するサックス奏者、スティーヴ・レーマンと組んだ『Dual Identity』、サックス奏者バンキー・グリーンと共演した『Apex』、インド系オランダ人のドラマー、Chander Sardjoe、アイルランド人のベーシスト、Ronan GuilfoyleからなるユニットMSGの『Tasty!』といった作品を挙げることができる。


◆Jacket◆
 
◆Track listing◆

01.   Introspection
02. Ganesha
03. Rez-Alap
04. Longing
05. Snake!
06. Carlo-Alap
07. Kalyani
08. Kadri-Alap
09. Kanya-Alap
10. Convergence(Kinsmen)

◆Personnel◆

Rudresh Mahanthappa: alto sax, Rez Abbasi: guitar, Carlo DeRosa: bass, Kadri Gopalnath: alto sax, Royal Hartigan: drums, Avasarala Kanyakumari: violin, Poovalure Sriji: mridangam

(Pi Recordings )
 

 そして、そんな多様なコラボレーション作品のなかでも、他とは異なる意味を持っているのが、インドのサックス奏者カドリ・ゴパルナス(Kadri Gopalnath)と共演したこの『Kinsmen』だ。ゴパルナスは、南インドの古典音楽カルナーティックに西洋の楽器であるサックスを導入して独自の世界を確立した先駆者だ。

 マハンサッパがゴパルナスの音楽を知るきっかけがなかなか面白い。彼が北テキサス州立大学でジャズを学びはじめたころに、彼の兄がある種のジョークのつもりでプレゼントしたのが、ゴパルナスのアルバム『Saxophone Indian Style』だった。つまり、ゴパルナスは、東洋と西洋が混ざり合うハイブリッドなマハンサッパの音楽世界の出発点になっているともいえる。


(upload:2014/11/01)
 
 
《関連リンク》
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