[ストーリー] スキー休暇を過ごすためにフレンチアルプスにやって来たスウェーデン人一家の5日間の物語。1日目はそろってスキーを楽しむが、2日目にトラブルが起こる。山腹のテラスで一家が昼食をとっているときに、付近の山で雪崩が起こる。テラスにいた人々はそれを写真やビデオに収めるが、気づけば近くまで迫っている。そのとき父親がとった行動が、その後の家族の関係に複雑な波紋を広げていく。
スウェーデン出身の異才リューベン・オストルンド監督(『インボランタリー(英題)』『プレイ』)の新作です。第67回カンヌ国際映画祭のある視点部門で審査員賞を受賞しています。2015年7月上旬、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー。
とりあえず簡単に感想を。オストルンド監督は、もともとスキーに熱中し、スキーを中心としたスポーツのドキュメンタリーから映像作家としてのキャリアをスタートさせた人なので、スキーリゾートの日常やスキーのアクションが、家族のドラマに見事に生かされています。
新作でもこれまでの作品と同じように、集団の力学や個人の心理が掘り下げられていきますが、『プレイ』よりも『インボランタリー(英題)』に近い悲喜劇になっています。雪山におけるアバランチ・コントロールは、登場人物が自己をコントロールすることの象徴になっているともいえます。
あと、映画を観ていて思い出したのは、ジュリア・ロフテク監督、ガエル・ガルシア・ベルナル主演の『ロンリエスト・プラネット 孤独な惑星』(11)のことでした。レビューを読んでいただくと、共通するテーマを扱っていることがおわかりいただけると思います。
[以下、本作のレビューになります]
スウェーデンの異才リューベン・オストルンド監督の『フレンチアルプスで起きたこと』では、スキー休暇を過ごすためにフレンチアルプスにやって来たスウェーデン人一家の5日間の物語が描かれる。その2日目、一家が山腹のテラスで昼食をとっている時に、付近の山で雪崩が発生する。そこにいた人々はそれを写真やビデオに収めるが、気づけば目前に迫っている。母親は咄嗟に子供たちを守ろうとするが、父親は姿を消している。結局、雪崩が大事に至ることはなかったが、父親の行動がその後の家族の関係に複雑な波紋を広げていく。 |