[ストーリー] ニューヨークの大手弁護士事務所で働くカーリーは、ある日、イケメンのビジネスマン、マークと恋に落ちる。その数ヵ月後、彼女はマークを父親に紹介しようとするが、彼は自宅の水回りのトラブルで家政婦が困っていることを理由に帰宅してしまう。そこで彼女も協力しようと彼の自宅を訪ねるが、そこにいたのは家政婦ではなく彼の妻ケイトだった。
もはやマークのことなど思い出したくもないカーリーだったが、なぜかケイトが彼女に付きまとうようになり、相談に乗っているうちに友だちになってしまう。カーリーがケイトに付き合って仕方なくマークの尾行をはじめると、ほかにも20代の愛人アンバーがいることが発覚。そこでふたりはアンバーに事情を打ち明け、3人でマークに復讐する計画をたてる。
ニック・カサヴェテス監督の父親で、インディペンデント映画の父といわれるジョン・カサヴェテスは、『オープニング・ナイト』(79)の製作中に資金難に陥り、家を抵当に入れようとした。それを知った妻で女優のジーナ・ローランズは、「ああ、ジョン、家はだめ、家はだめよ」と嘆いたという。
筆者が2009年に『私の中のあなた』(09)のプロモーションで来日したニック・カサヴェテスにインタビューしたとき、彼は次回作についてこのように語っていた。「次に着手しようとしている作品は難しいので、もしかすると家を抵当に入れることになるかもしれない。いずれにしても私がやりたいのは型を破ることなんだ」。
その新作『イエロー』では、重い過去を背負う臨時教師のメアリーが、様々な妄想の世界に逃避することで、厳しい現実との折り合いをつけようとする。妄想世界の表現はまさに自由奔放で、型破りな作品になっていた。そして、『イエロー』が東京国際映画祭で上映されたときに来日したニックに再びインタビューしたら、彼は「実際に私の家は抵当に入っているよ」と語っていた。
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