[Story] 内気で引きこもりがちなクリスティアン(27歳) (フランツ・ロゴフスキ)は、ある騒動の後に建設現場での仕事をクビになり、在庫管理担当としてスーパーマーケットで働き始め、レジでの雑踏やフォークリフトなど、自分にとって全く未知の世界に放り込まれる。そして彼はルディ(アンドレアス・レオポルト)、クラウス(職場で唯一ハンドパレットトラックの操縦を許可されている) (ミヒャエル・シュペヒト)、ユルゲン、飲料セクションのブルーノ(ペーター・クルト)と出会う。ブルーノは、クリスティアンに仕事のいろはやフォークリフトの操縦の仕方を教え、クリスティアンにとって父親のような存在になる。通路で、クリスティアンはスイーツセクションの同僚のマリオン(39歳) (ザンドラ・ヒュラー)と出会い、彼女の謎めいた魅力に一瞬で惹かれる。コーヒーマシーンのある休憩所が彼らのおきまりの場所となり、二人は親密になっていくが...。
[Introduction] 閉店後、照明を落とした店内をフォークリフトがワルツを踊るように通路を行き交う、その優美さ。小さな誕生日ケーキの愛らしさ。水槽に詰め込まれた魚たちの悲哀。冷凍倉庫での愛情表現。ほのかな光に照らされた広大な田園風景と空の、はっとするほどの美しさ。誰も自分の悲しみを言葉にはしないが、クリスティアンが抱えているらしい心の傷やマリオンの苦しみ、東ドイツ時代を懐かしむブルーノの言葉は、ぐっと胸に迫る。
トーマス・ステューバー監督は、1981年、旧東ドイツのライプツィヒ生まれ。本作は、クレメンス・マイヤー(1977年、旧東ドイツ・ハレ生まれ)の短編小説「通路にて」を映画化したものだ。2人は、マイヤーの短編「犬と馬のこと」をステューバーが2012年に中編作品に映画化して以来タッグを組み、ステューバーの初長編映画『ヘビー級の心』(15/Netflixにて配信)では共同で脚本を執筆。本作も2人の共同脚本作であり、マイヤーはマリオンの夫役で出演もはたしている。[プレスより]
ニューズウィーク日本版の筆者コラムで本作を取り上げています。その記事をお読みになりたい方は以下のリンクからどうぞ。
● 旧東ドイツ人は、その後の時代をどう生きてきたのか 『希望の灯り』
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