バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡):OST
/ アントニオ・サンチェス

Birdman or (The Unexpected Virtue of Ignorance): OST
/ Antonio Sanchez (2014)


 
line
(初出:)

 

 

全編ワンカットかと見紛う映像と一体となり
ドラマの流れに呼応して自在に変化するリズム

 

 メキシコ出身で、『アモーレス・ペロス』(00)、『21グラム』(03)、『バベル』(06)、『BIUTIFUL ビューティフル』(10)などの作品で知られるアレハンドロ・G・イニャリトゥ監督の新作『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』(14)[2015年4月10日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー]のオリジナル・サウンドトラックです。

[ストーリー] 映画シリーズ終了から20年、今も世界中で愛されているスーパーヒーロー“バードマン”。だが、バードマン役でスターになったリーガンは、その後のヒット作に恵まれず、私生活でも結婚に失敗し、失意の日々を送っていた。

 再起を決意したリーガンは、レイモンド・カーヴァーの「愛について語るとき我々の語ること」を自ら脚色し、演出と主演も兼ねてブロードウェイの舞台に立とうとしていた。ところが、代役として現れた実力派俳優のマイクに脅かされ、アシスタントに付けた娘のサムとは溝が深まるばかり。しかも決別したはずの“バードマン”が現れ、彼を責め立てる。果たしてリーガンは、再び成功を手にし、家族との絆を取り戻すことができるのか?[プレスより]

 サウンドトラックを手がけているのは、同じくメキシコ出身で、パット・メセニーのグループなどで活躍し、ジャズ界を代表するドラマー/作曲家のアントニオ・サンチェスです。ドラムソロでサントラを作ってしまうというのはかなりの冒険といえますが、実際に映画を観ると、いかに音楽が映像を補完しているかがよくわかると思います。

 この映画では、全編ワンカットかと見紛う巧妙なカメラワークと編集によって、映像が切れ目なく登場人物たちを追いつづけます。そこで、場面によって音楽や楽器をいろいろ変えていたら、切れ目のない映像が生み出す流れの魅力が半減していたでしょう。しかしこの映画では、ドラムソロで押し通し、場面によってリズムを自在に変化させることによって、映像と一体となったダイナミズムを生み出しています。


◆Jacket◆
 
◆Track listing◆

01.   Get Ready
02. Dirty Walk
03. Just Chatting
04. Waiting For What
05. Semi Comfortable In 3
06. Strut Pt 1
07. Doors and Distance
08. Night Chatter
09. Almost Human
10. Schizo
11. Internal War
12. Kinda Messy
13. Strut Pt 2
14. Claustrophobia
15. Fire Trail
16. The Anxious Battle for Sanity
17. Gustav Mahler : Symphony No. 9 in D - 1st Movement: Andante Comodo
18. Pyotr Ilyich Tchaikovsky : Symphony No. 5 Op. 64 in E Minor: Andante Cantabile
19. Gustav Mahler: Ich Bin Der Welt Abhanden Gekommen
20. Maurice Ravel:Passacaille (Tres Large)
21. John Adams : Prologue: Chorus Of Exiled Palestinians
22. Sergei Rachmaninov: Symphony No. 2 in E Minor, Op. 27 - II Allegro Molto

◆Personnel◆

Antonio Sanchez - drums (01-16); The Polish National Radio Symphony Orchestra (17); Stefano Seghedoni (18), Violeta Urmana / Wiener Philharmoniker / Pierre Boulez (19); Beaux Arts Trio (20); John Adams (21); The Stuttgart Radio Symphony Orchestra (22)

(Milan)
 


(upload:2015//)
 
 
《関連リンク》
『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』 レビュー ■
『BIUTIFUL ビューティフル』 レビュー ■
『21g [21グラム]』 レビュー ■
『アモーレス・ペロス』 レビュー ■
デイミアン・チャゼル『セッション』 レビュー ■
『セッション:オリジナル・サウンドトラック』 レビュー ■

 
 
amazon.co.jpへ●
 
 
ご意見はこちらへ master@crisscross.jp