アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥの新作『BIUTIFUL』は、表現や構成がこれまでの監督作とは違う。複数の物語を断片化し、再構築するようなスタイルは見られない(『アモーレス・ペロス』や『21グラム』、イニャリトゥとコンビを組んでいたギジェルモ・アリアガの『あの日、欲望の大地で』のレビューをお読みいただければ、筆者がこれまでの彼のスタイルに好感を持っていなかったことがおわかりいただけるだろう)。
主人公はスペインの大都市バルセロナの底辺で生きる男ウスバル。妻と別れ、男手ひとつで二人の子供を育てている彼がある日、末期がんで余命2ヶ月と宣告される。
この映画では、そんなありがちなストーリーとは異なる次元で深遠な世界が切り拓かれていく。見逃せないのは、ウスバルが様々な意味で“境界”に立たされ、それゆえに自己をコントロールできなくなっていくところだ。なかでもバルセロナと移民をめぐる境界には、イニャリトゥの鋭い視点を感じる。
バルセロナを中心とするカタルーニャの人口は、1900年には197万人に過ぎなかったが、1991年には616万人に膨らんでいた。この映画には、中国やアフリカ、東欧などから来た多くの移民が登場するが、実は外国人が流入するようになるのは90年代以降のことで、それ以前の流入者はスペインの他の地域から移住した人々だった。
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◆スタッフ◆ |
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監督/脚本/製作 |
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アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ
Alejandro Gonzalez Inarritu |
脚本 |
アルマンド・ボー、ニコラス・ヒアコボーネ
Armando Bo, Nicolas Giacobone |
撮影 |
ロドリゴ・プリエト
Rodrigo Prieto |
編集 |
スティーヴン・ミリオン
Stephen Mirrione |
音楽 |
グスターボ・サンタオラヤ
Gustavo Santaolalla |
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◆キャスト◆ |
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ウスバル |
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ハビエル・バルデム
Javier Bardem |
マランブラ |
マリセル・アルバレス
Maricel Alvarez |
ティト |
エドゥアルド・フェルナンデス
Eduardo Fernandez |
イヘ |
ディアリァトゥ・ダフ
Diaryatou Daff |
エクウェメ |
チェイク・ナディアイエ
Cheick Ndiaye |
ハイ |
チェン・ツアイシェン
Cheng Taisheng |
リウェイ |
ルオ・チン
Luo Jin |
アナ |
ハナ・ボウチャイブ
Hanaa Bouchaib |
マテオ |
ギレルモ・エストレラ
Guillermo Estrella |
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(配給:ファントム・フィルム) |
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