母が女優で父が彫刻家という芸術家一家に育ったジュリエット・ビノシュは、幼いころより母から演技のレッスンを受けていた。いくつかの舞台作品に出演したのち、ゴダール(『ゴダールのマリア』1984)、ドワイヨン(『家族生活』1984)、テシネ(『ランデヴー』1985)らの世界に登場するようになる。1986年、『汚れた血』の現場でレオス・カラックス監督と出会う。ふたりは恋に落ち、ビノシュは彼の『ポンヌフの恋人』にも参加するが、ふたりのホームレスを描いたこのラブストーリーは多くの問題に直面し、完成までに3年を費やした。そして、その完成とともに、ビノシュとカラックスの関係も終わりを迎える。
『存在の耐えられない軽さ』(フィリップ・カウフマン監督/ダニエル・デイ=ルイス共演/1987)と『ダメージ』(ルイ・マル監督/ジェレミー・アイアンズ共演/1992)という二本の英語圏映画で見せた、力強く官能的なパフォーマンスにより、ハリウッドがビノシュに注目しはじめる。フランスのメディアから親愛を込めて“ラ・ビノシュ”と呼ばれる彼女に、スティーヴン・スピルバーグもまた関心を寄せ、『ジュラシック・パーク』のエリー・サトラー博士役をオファー。しかし、ビノシュはこれを断り、代わりにクシシュトフ・キシェロフスキの『トリコロール/青の愛』に参加し、セザール賞の最優秀女優賞を受賞した。
(『トスカーナの贋作』プレスより引用)
▼エーリク・ポッペ監督、ニコライ・コスター=ワルドー、ローリン・キャニー、マリア・ドイル・ケネディ共演の『おやすみなさいを言いたくて』(13)は、2014年12月13日(土)全国ロードショー。