[ストーリー] 『ショート・ターム』は、リスクを抱えるティーンのためのグループホームで働く20代のケアテイカー、グレイスとそこに預けられた子供たちの短い季節の物語。情熱的で負けん気の強いグレイスは、受け持つ子供たちからも信頼の厚いホームの中心的ケアマネージャー。同僚のメイソンとは長い間、恋人同士の関係にあり、様々な問題に直面しながらも、小さな幸せの日々を送っている。
ある日、施設長のコネで施設にやってきたジェイデンの入所をきっかけに、グレイス自身が抱える辛い過去の記憶が再び掘り起こされ、さらに突然訪れる想定外の未来によって、彼女の人生は次第に混迷していくが、一方で、家庭と自分の心に問題を抱える才気あふれる少女、ジェイデンとの間に強い絆を感じてつながりを深めてゆく。[プレスより]
ハワイ・マウイ島出身の新鋭デスティン・ダニエル・クレットン監督の『ショート・ターム』では、家庭や心に問題を抱えるティーンのための短期保護施設“Short Term 12”を舞台に、ケアテイカーと子供たちの複雑な内面が掘り下げられていく。
快活で責任感が強いケアマネージャーのグレイスは、子供たちから信頼され、同僚のメイソンと交際し、苦労は絶えないものの充実した日々を送っている。だが、自身の妊娠と施設を転々とする少女ジェイデンの入所をきっかけに、動揺を抑えられなくなる。心を閉ざすジェイデンに自分の過去に通じるものを嗅ぎ取ったグレイスは、少女にのめり込んでいく。
この映画の魅力は、具体的には描かれない背景が私たちの想像力をかきたてるところにある。それは単に虐待ということではない。少し古い作品になるが、クリント・イーストウッドが監督・主演した『マディソン郡の橋』のなかに、放浪の写真家が「アメリカ人の頭は家族礼讃の倫理に惑わされている」という台詞を口にする場面がある。 |