[ストーリー] ある下水清掃人の死体が、ムンバイのマンホールの中で発見された。ほどなく、年老いた民謡歌手カンブレが逮捕される。彼の扇動的な歌が、下水清掃人を自殺へと駆り立てたという容疑だった。
不条理にも被告人となった彼の裁判が下級裁判所で始まる。理論的で人権を尊重する若手弁護士、100年以上前の法律を持ち出して刑の確定を急ぐ検察官、何とか公正に事を運ぼうとする裁判官、そして偽証をする目撃者や無関心な被害者の未亡人といった証人たち。
インドの複雑な社会環境の中で、階級、宗教、言語、民族など、あらゆる面で異なる世界に身を置いている彼らの個人的な生活と、法廷の中での一つの裁きが多層に重なっていき――。[プレス参照]
インドの新鋭チャイタニヤ・タームハネー監督の『裁き』は、ヴェネチア国際映画祭でルイジ・デ・ラウレンティス賞(新人監督賞)と先鋭的・革新的な映画を発掘するオリゾンティ部門の作品賞のW受賞を果たした。原題の“COURT”が示唆するように、法廷を中心に展開するこの映画は、まさにそんな賞に相応しい作品といえる。
ニューズウィーク日本版の筆者コラム「映画の境界線」で本作を取り上げています。その記事をお読みになりたい方は以下のリンクからどうぞ。
● インドの理不尽な裁判を舞台に社会の分断を描く『裁き』
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