[シノプシス] いまアメリカ経済は危機に瀕している。クリントン政権下の労働長官、尊敬される教授、カリスマ性のある専門家、3冊の本の著者でもあるロバート・ライシュ。本作の中で「ボブ」と呼ばれるこの人物は、この問題に警鐘を鳴らしている頼れる案内人である。
アメリカ人として、私たちは社会の中心にある基本的な約束を教えられてきた。一生懸命に働き、ルールに従っていれば、より良い人生を送れるという。しかし、過去35年の間に、この約束は破られた。アメリカ経済が倍以上に拡大する一方で、中流階級の所得は増加しなかった。
では、そのお金はどこへ行ったのか? 答えは明らかで、富裕層の懐だ。1970年には、1%の富裕層が得ていたのは国民総所得の9%である。今日では23%にも上る。国全体の富の35%以上がたった1%の富裕層に集中しているのだ。一方、50%の貧困層が得ているのはわずか2.5%にすぎない。
かつてないほどの所得格差、激しく変動する不安定な経済、苛立ちや幻滅を募らせる国民。今こそアメリカという国と自分たち自身を見つめるときだ。所得格差に関する討論が国中で行われるようになった。これはいいことだ。本作では、なぜ富裕層とその他大勢との間に広がる格差が単なるモラル上の公平さの問題ではないのかを示し、ひとつの考えを導き出す。[プレス参照]
「ニューズウィーク日本版」で筆者が担当するコラム「映画の境界線」で本作を取り上げました。記事をお読みになりたい方は以下のリンクからどうぞ。
● ロバート・ライシュが案内人となって、アメリカの経済格差の問題に迫るドキュメンタリー|『みんなのための資本論』
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