[Introduction] 『預言者』、『君と歩く世界』、『ディーパンの闘い』、『ゴールデン・リバー』などで知られるフランスの鬼才ジャック・オディアール待望の最新作は、デジタル化された現代社会を生きる30歳前後の男女の
孤独、不安、セックス、そして愛にまつわる物語だ。原作は、今最注目の北米のグラフィック・ノベリスト、エイドリアン・トミネの3つの短編。『燃ゆる女の肖像』で一躍世界のトップ監督となったセリーヌ・シアマと、若手注目監督・脚本家レア・ミシウスが、共同で脚本を手がけた。ルームメイトとなるエミリーとカミーユに抜擢され、一躍スターダムにのし上がったのは、Instagram
を通じて見出された中国系フランス人の新人ルーシー・チャンと、人気上昇中のフランス人俳優マキタ・サンバ。32歳で復学し、繊細さと強さを持ち合わせるノラを、『燃ゆる女の肖像』の主演を務めたノエミ・メルランが、“アンバー・スウィート”をポスト・パンク・バンドSavagesのヴォーカリスト、ジェニー・ベスが好演。(プレス参照)
[Story] コールセンターでオペレーターとして働く台湾系フランス人のエミリーのもとに、ルームシェアを希望するアフリカ系フランス人の高校教師カミーユが訪れる。二人は即セックスする仲になるものの、ルームメイト以上の関係になることはない。同じ頃、法律を学ぶためソルボンヌ大学に復学したノラは、年下のクラスメートに溶け込めずにいた。金髪ウィッグをかぶり、学生の企画するパーティーに参加した夜をきっかけに、元ポルノスターでカムガール(ウェブカメラを使ったセックスワーカー)の“アンバー・スウィート”本人と勘違いされ、学内中の冷やかしの対象となってしまう。大学を追われたノラは、教師を辞めて一時的に不動産会社に勤めるカミーユの同僚となり、魅惑的な3人の女性と1人の男性の物語がつながっていく。
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とりあえず簡単なコメント:オディアール監督の前作『ゴールデン・リバー』は、パトリック・デウィットの小説『シスターズ・ブラザーズ』をトマ・ビデガンが脚色した西部劇だった。本作は、エイドリアン・トミネの3つの短篇をセリーヌ・シアマとレア・ミシウスが脚色した現代パリを舞台にしたドラマ。2作につながりがあるようには見えないが、実は接点がある。
どちらも4人の人物が絡み合い、それぞれの覚醒や変容が描かれる。『ゴールデン・リバー』の登場人物のひとりであるモリスの以下のような台詞は、それがどんな覚醒であるのかのヒントになる。 |