[ストーリー] 主人公は、内戦下のスリランカを逃れ、フランスに入国するため、赤の他人の女と少女とともに“家族”を装う元兵士ディーパン。辛うじて難民審査を通り抜けた3人は、パリ郊外の集合団地の一室に腰を落ち着け、ディーパンは団地の管理人、女ヤリニは家政婦の職を手にする。小学校に転入した少女イラヤルは、誰よりも早くフランス語を覚え、“父”と“母”の通訳となる。
日の差すうちは外で家族を装い、ひとつ屋根の下では他人に戻る日々。秘密を抱えた彼らは、大人は働き、子どもはフランス語を学ぶ。そうしないと強制送還なのだと肝に銘じているからだ。
ところが、少しずつ環境に慣れるに従い、ぎすぎすした彼らの関係にも変化が表れる。そうして暴力から逃れてきた3人が、ささやかな幸せに手を伸ばした矢先、新たな暴力が襲いかかる。暴力を、戦いを捨てたディーパンだったが、愛のため、家族のために闘いの階段を昇ってゆく――。[プレスより引用]
カンヌ国際映画祭パルムドール受賞。『真夜中のピアニスト』(05)、『預言者』(09)、『君と歩く世界』(12)の異才ジャック・オディアール監督の新作です。まったく異なる設定、物語に変わっていますが、企画の出発点になったのが、カラム・マクレー監督のドキュメンタリー『No Fire Zone: The Killing Fields of Sri Lanka』(13)だったことに個人的に非常に興味を覚えています。
「ニューズウィーク日本版」の筆者コラム「映画の境界線」で本作を取り上げました。記事をお読みになりたい方は以下のリンクからどうぞ。
● スリランカ難民がたどり着いたパリ郊外の団地に、戦場を再現する|『ディーパンの闘い』