ディーパンの闘い
Dheepan


2015年/フランス/フランス語・タミル語/カラー/115分/スコープサイズ/5.1ch
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(初出:「ニューズウィーク日本版」コラム「映画の境界線」2016年2月5日更新)

 

 

主人公の変容(通過儀礼)を浮き彫りにする象徴的な物語
異才ジャック・オディアールが切り拓く独自の世界

 

[ストーリー] 主人公は、内戦下のスリランカを逃れ、フランスに入国するため、赤の他人の女と少女とともに“家族”を装う元兵士ディーパン。辛うじて難民審査を通り抜けた3人は、パリ郊外の集合団地の一室に腰を落ち着け、ディーパンは団地の管理人、女ヤリニは家政婦の職を手にする。小学校に転入した少女イラヤルは、誰よりも早くフランス語を覚え、“父”と“母”の通訳となる。

 日の差すうちは外で家族を装い、ひとつ屋根の下では他人に戻る日々。秘密を抱えた彼らは、大人は働き、子どもはフランス語を学ぶ。そうしないと強制送還なのだと肝に銘じているからだ。

 ところが、少しずつ環境に慣れるに従い、ぎすぎすした彼らの関係にも変化が表れる。そうして暴力から逃れてきた3人が、ささやかな幸せに手を伸ばした矢先、新たな暴力が襲いかかる。暴力を、戦いを捨てたディーパンだったが、愛のため、家族のために闘いの階段を昇ってゆく――。[プレスより引用]

 カンヌ国際映画祭パルムドール受賞。『真夜中のピアニスト』(05)、『預言者』(09)、『君と歩く世界』(12)の異才ジャック・オディアール監督の新作です。まったく異なる設定、物語に変わっていますが、企画の出発点になったのが、カラム・マクレー監督のドキュメンタリー『No Fire Zone: The Killing Fields of Sri Lanka』(13)だったことに個人的に非常に興味を覚えています。

 「ニューズウィーク日本版」の筆者コラム「映画の境界線」で本作を取り上げました。記事をお読みになりたい方は以下のリンクからどうぞ。

スリランカ難民がたどり着いたパリ郊外の団地に、戦場を再現する|『ディーパンの闘い』


◆スタッフ◆
 
監督/脚本   ジャック・オディアール
Jacques Audiard
脚本 ノエ・ドブレ、トーマス・ビデガン
Noe Debre, Thomas Bidegain
撮影 エポニーヌ・モモンソ
Eponine Momenceau
編集 ジュリエット・ウェルフラン
Juliette Welfling
音楽 ニコラス・ジャー
Nicolas Jaar
 
◆キャスト◆
 
ディーパン   アントニーターサン・ジェスターサン
Jesuthasan Antonythasan
ヤリニ カレアスワリ・スリニバサン
Kalieaswari Srinivasan
イラヤル カラウタヤニ・ヴィナシタンビ
Claudine Vinasithamby
ブラヒム ヴァンサン・ロティエ
Vincent Rottiers
ユスフ マーク・ジンガ
Marc Zinga
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(配給:ロングライド)
 


(upload:2016//)
 
 
《関連リンク》
ジャック・オディアール 『パリ13区』 レビュー
ジャック・オーディアール 『ゴールデン・リバー』 レビュー
ジャック・オディアール 『君と歩く世界』 レビュー01
ジャック・オディアール 『君と歩く世界』 レビュー02

 
 
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