燃ゆる女の肖像
Portrait de la jeune fille en feu / Portrait of a Lady on Fire


2019年/フランス/カラー/122分/ビスタサイズ/5.1chデジタル
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(初出:「ニューズウィーク日本版」映画の境界線2020年12月3日更新)

 

 

二人の女性の避けられない運命と内なる解放

 

[Introduction] 2019年カンヌ国際映画祭で、脚本賞とクィア・パルム賞を受賞。監督のセリーヌ・シアマは、デビュー作の『水の中のつぼみ』でセザール賞新人監督作品賞にノミネートされるなど、本国フランスでは早くからその才能を評価され、独自の世界観を築いてきた。そして、長編映画4作目となる本作で、名立たるメディアや評論家から「映画史を塗り替える傑作」と最大級の賛辞を浴びた。マリアンヌには、『英雄は嘘がお好き』のノエミ・メルラン。エロイーズには『スザンヌ』でセザール賞を受賞し、フランスで今最も熱い賞賛をまとうアデル・エネル。シアマ監督の元パートナーで、監督は別離の後に、彼女に新境地をひらいてほしいと本作をあて書きしたというエピソードも話題だ。(プレス参照)

[Story] 画家のマリアンヌはブルターニュの貴婦人から、娘のエロイーズの見合いのための肖像画を依頼される。だが、エロイーズ自身は結婚を拒んでいた。身分を隠して近づき、孤島の屋敷で密かに肖像画を完成させたマリアンヌは、真実を知ったエロイーズから絵の出来栄えを否定される。描き直すと決めたマリアンヌに、意外にもモデルになると申し出るエロイーズ。キャンバスをはさんで見つめ合い、美しい島を共に散策し、音楽や文学について語り合ううちに、恋におちる二人。約束の5日後、肖像画はあと一筆で完成となるが、それは別れを意味していた――。

 ニューズウィーク日本版の筆者コラム「映画の境界線」で本作を取り上げています。その記事をお読みになりたい方は以下のリンクからどうぞ。

二人の女性の避けられない運命と内なる解放を描く|『燃ゆる女の肖像』


◆スタッフ◆
 
監督/脚本   セリーヌ・シアマ
Celine Sciamma
撮影監督 クレア・マトン
Claire Mathon
編集 ジュリアン・ラシュレー
Julien Lacheray
オリジナルスコア パラ・ワン、アーサー・シモニーニ
Para One, Arthur Simonini
 
◆キャスト◆
 
マリアンヌ   ノエミ・メルラン
Noemie Merlant
エロイーズ アデル・エネル
Adele Haenel
ソフィ ルアナ・バイラミ
Luana Bajrami
伯爵夫人 ヴァレリア・ゴリノ
Valeria Golino
-
(配給:ギャガGAGA)
 

 

《参照/引用文献》
『絵筆をとったレディ―女性画家の500年―』アメリア・アレナス●
木下哲夫訳(淡交社、2008年)

(upload:2021/10/12)
 
 
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