[ストーリー] 華やかな仮面の下に腐敗した魂を宿す、50年代初頭のロサンゼルス。深夜のコーヒーショップで6人の男女が惨殺された。事件を追うのは、L.A.P.D.(ロサゼルス市警)の3人の男たち。バド・ホワイト。裁判に持ち込んでも有罪にできる可能性のない犯人を、何のためらいもなく背後から撃ち殺す男。エド・エクスリー。殉職した警察官を父に持ち、出世のためなら仲間も裏切る男。ジャック・ビンセンズ。刑事ドラマのアドバイザーとして名を売る裏で、有名人の麻薬スキャンダルをマスコミに売る男。みずからが信じる正義の名のもとに彼らは犯人を追う。しかし、どの“正義”も、実は血にまみれていた――。[プレスより]
[ショート・レビュー] カーティス・ハンソン監督が、ジェイムズ・エルロイの“L.A.四部作”の一作『L.A.コンフィデンシャル』を映画化。主役のバドとエドには、ニュージーランド生まれ、オーストラリア育ちのラッセル・クロウと、イギリス生まれ、オーストラリア育ちのガイ・ピアースを起用。
見るからにタフで、頭に血が上りやすいバドとメガネをかけたインテリで、出世のためなら卑劣な手段も辞さないエド。彼らは事件の捜査や女をめぐって事あるごとに衝突を繰り返していく。しかしそれはよくある武闘派と頭脳派の対立ではない。
ジェイムズ・エルロイの原作には及ばないが、彼らを駆り立てているのは、まず何よりもそれぞれの内にうごめく情念であり、それが対立の図式を突き崩していく。
かつて目の前で父親に母親を殺され、母親を守ることができなかったことがトラウマとなっているバドは、女がいたぶられている話を耳にしただけで人間が豹変し、機会があれば法をねじまげてでも自分の手で男を処罰する。刑事だった父親を何者かに殺され、その後を継いだはずのエドには、忘れかけていた父親の記憶が甦ってくる。
そんな情念は、ふたりをそれぞれに腐敗した組織から孤立させると同時に友情で結びつけていく。彼らは、影でロスを動かす連中が利用していた薄汚いモーテルで、壮絶な銃撃戦を繰り広げるのだ。 |