ディス・サイド・オブ・ジョーダン
/ マンドリン・オレンジ
This Side of Jordan / Mandolin Orange (2013)


 
line
(初出:)

 

 

スピリチュアリティ、死者、リベラルな主張
大怪我をきっかけに獲得された新たな世界観

 

 ノースカロライナのチャペルヒルを拠点に活動するアンドリュー・マーリンとエミリー・フランツのデュオ、マンドリン・オレンジ。『ディス・サイド・オブ・ジョーダン/This Side of Jordan』(13)は、2011年の2枚組セカンド『ヘイスト・メイク / ハード・ハーテッド・ストレンジャー/Haste Make / Hard Hearted Stranger』につづくサード・アルバムです。

 歌詞をチェックするとわかりますが、このアルバムでは、宗教的な表現、あるいはスピリチュアリティや死者を意識した表現が目立ちます。それは、アンドリューの亡母が教会で音楽を演奏していて、彼が音楽に目覚める出発点になったこととも無関係ではないでしょう。しかし、他にもこのアルバムを作るうえで彼に影響を及ぼした出来事があります。

 2011年秋のある晩、友人たちと外出したアンドリューは、10フィートの高さから放水路に転落し、骨盤を骨折し、病院に運ばれる事故に遭いました。その大怪我をきっかけに心の目が開かれ、これまでとは違った視点から世界をとらえるようになったようです。

 宗教的というと、カントリーやブルーグラスの伝統的、保守的、男性中心的な部分と結びつけて考える人もいるかもしれませんが、それは間違いです。たとえば、アルバムに収められた<Hey Adam>という曲には同性婚支持のメッセージが盛り込まれています。

 筆者が以前からプッシュしているハレイ・フォー・ザ・リフ・ラフのフロントウーマン、アリンダ・リーはレズビアンで、中心的なメンバーであるフィドラーのヨシ・パールスタインはトランスジェンダーで、『スモール・タウン・ヒーロー/Small Town Hero』では、カントリー/フォークの伝統的な世界をフェミニストの視点から見直しています。そうした異なる感性がこのジャンルを刺激的なものにしています。

Mandolin Orange - This Side of Jordan Album Lyrics
1.House of Stone Lyrics
2.Turtle Dove & the Crow Lyrics
3.There Was a Time Lyrics
4.The Runaround Lyrics
5.Cavalry Lyrics
6.Black Widow Lyrics
7.The Doorman Lyrics
8.Morphine Girl Lyrics
9.Hey Adam Lyrics
10.Waltz About Whiskey Lyrics
11.Until the Last Light Fades Lyrics

Mandolin Orange Lyrics provided by SongLyrics.com


◆Jacket◆
 
◆Track listing◆

01.   House of Stone
02. Turtle Dove & the Crow
03. There Was a Time
04. The Runaround
05. Calvalry
06. Black Widow
07. The Doorman
08. Morphine Girl
09. Hey Adam
10. Waltz About Whiskey
11. Until the Last Light Fades

◆Personnel◆

Mandolin Orange: Andrew Marlin - vocals, acoustic guitar, banjo, mandolin; Emily Frantz - vocals, fiddle; Josh Oliver - electric guitar, vocals; James Wallace - drums

(Yep Roc)
 

 

(upload:2015//)
 
 
《関連リンク》
Mandolin Orange : official site
The Bluegrass Situation | Artist of the Month : Mandolin Orange
マンドリン・オレンジ 『サッチ・ジュビリー』 レビュー ■
マンドリン・オレンジ
『ヘイスト・メイク/ハード・ハーテッド・ストレンジャー』 レビュー
■
マンドリン・オレンジ 『クワイエット・リトル・ルーム』 レビュー ■
クルキッド・スティル 『シェイクン・バイ・ア・ロウ・サウンド』 レビュー ■
クルキッド・スティル 『ホップ・ハイ』 レビュー ■
ハレイ・フォー・ザ・リフ・ラフ
『It Don't Mean I Don't Love You』レビュー
■
ハレイ・フォー・ザ・リフ・ラフ/Hurray for the Riff Raff
――ニューオーリンズという土地に深く根ざし
聖と俗、死者と生者を繋ぐ“メディア”としての音楽
■

 
 
amazon.co.jpへ●
 
ご意見はこちらへ master@crisscross.jp