クワイエット・リトル・ルーム / マンドリン・オレンジ
Quiet Little Room / Mandolin Orange (2010)

ギターを弾き始めて、ジャンルを越境し、
自分の音を見出し、デュオが誕生するまで

　マンドリン・オレンジは、ノースカロライナ（のチャペルヒル）を拠点に活動するアンドリュー・マーリンとエミリー・フランツのデュオです。ふたりは2009年にチャペルヒルで出会い、この『クワイエット・リトル・ルーム／Quiet Little Room』（10）がファースト・アルバムになります。

　エミリーはチャペルヒル育ちで、子供の頃にヴァイオリンを習い始め、14歳から地元のミュージシャンに混じってブルーグラスをプレイしていました。

　これに対してアンドリューの音楽の遍歴は、いろいろ変化があり、興味深いです。14歳でギターを手にし、友人の影響で最初はパール・ジャムの曲をやり、それからパンテラやスレイヤーなどメタルに向かい、次にビートルズに傾倒しました。その後、チャペルヒルにやってきて、リッキー・スキャッグスとトニー・ライスを聴いて心を奪われ、古い曲を聴きあさり、自分の方向性を見出しました。

　そして、エミリーと出会い、マンドリン・オレンジが結成されます。この『クワイエット・リトル・ルーム』は彼らのファースト・アルバムですが、そこに収められた楽曲はアンドリューが彼女と出会う前にすでに書き上げていたもので、ふたりでゼロから曲作りをしている作品は、次の２枚組『ヘイスト・メイク / ハード・ハーテッド・ストレンジャー／Haste Make / Hard Hearted Stranger』（11）からということになります。