シェフ 三ツ星フードトラック始めました:OST / VA
Chef: Original Soundtrack / Various Artists (2014)


 
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(初出:)

 

 

マイアミ→ニューオーリンズ→オースティン→LA
フードトラックの旅を彩るソウルフルなナンバー

 

 『アイアンマン』シリーズの製作総指揮、監督、出演で知られるジョン・ファヴローが、インディーズのスタンスに回帰して作り上げたロード・ムーヴィー『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』(14)のオリジナル・サウンドトラックです。キャストは、監督・主演のファヴローのほか、ソフィア・ベルガラジョン・レグイザモスカーレット・ヨハンソンダスティン・ホフマンオリヴァー・プラットロバート・ダウニーJr.といった面々。料理と風景と音楽が一体になった作品になっています。

[ストーリー] ロサンゼルスにある一流レストランの<総料理長>カール・キャスパーは、メニューにあれこれと口出しするオーナーと対立し、突然店を辞めてしまう。次の仕事を探さなければならない時にマイアミに行った彼は、絶品のキューバサンドイッチと出逢う。その美味しさで人々に喜んでもらう為に、移動販売を始めることに。譲り受けたボロボロのフードトラックを改装し、マイアミ〜ニューオーリンズ〜オースティン〜ロサンゼルスまで究極のキューバサンドイッチを作り、売る旅がスタートした――。[プレスより]

 サウンドトラックでは、主人公たちがマイアミからニューオーリンズ、テキサスのオースティンへと移動していくのに合わせ、それぞれの土地と結びつきがあるナンバーがセレクトされています。

 また、サントラだけではなく、映画にも実際に登場しているミュージシャンもいます。マイアミのクラブで、主人公カールと前妻のイネズが食事をし、キューバサンドイッチの旨さに目覚める場面では、ペリーコ・エルナンデス率いるアフロ・キューバン・バンドが実際に演奏しています。カールのフードトラックがオースティンを訪れる場面では、オースティン出身のブルース・ギタリスト/シンガーのゲイリー・クラーク・ジュニアのステージが見られます。

 しかし、一番ポイントになっているのは、やはりニューオーリンズと結びつきのある楽曲です。サウンドトラックには収録されていませんが、映画はレストランの厨房で仕込みが行なわれる場面に、ニューオーリンズのマルディグラ・インディアンのバンド、ワイルド・マグノリアスの<Brother John Is Gone / Herc-Jolly-John>が流れるところから始まり、後半のフードトラックの旅でも、ニューオーリンズが中心となり、そのストリート・ミュージックを代表するリバース・ブラス・バンドの<Bustin’ Loose>やザ・ホット・8・ブラス・バンドの<Sexual Healing>で盛り上がります。このサウンドトラックは持っていて損はないでしょう。


◆Jacket◆
 
◆Track listing◆

01.   I Like It Like That – Pete Rodriguez
02. Lucky Man – Courtney John
03. A Message To You Rudy – Grant Phabao, The Lone Ranger and Carlton Livingston
04. Cavern – Liquid Liquid
05. C.R.E.A.M – El Michels Affair
06. Hung Over – The Martinis
07. Que Se Sepa – Roberto Roena
08. Ali Baba – Louie Ramirez
09. Homenaje Al Beny (Castellano Que Bueno Baila Usted) – Gente de Zona
10. Mi Swing Es Tropical – Quantic & Nickodemus feat. Tempo & The Candela Allstars
11. Bustin’ Loose – Rebirth Brass Band
12. Sexual Healing – The Hot 8 Brass Band
13. When My Train Pulls In (Live in Austin) – Gary Clark Jr.
14. West Coast Poplock – Ronnie Hudson And The Street People
15. Oye Como Va (Live at el Jefe) – Perico Hernandez
16. La Quimbumbia (Live at el Jefe) – Perico Hernandez
17. One Second Every Day – Lyle Workman

(Milan Records)
 

 


(upload:2015/03/22)
 
 
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――ニューオーリンズという土地に深く根ざし
聖と俗、死者と生者を繋ぐ“メディア”としての音楽
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