復讐三部作の最後を飾る『親切なクムジャさん』もまた、過剰と抑制の落差が際立つ暴力描写、コントラストの強いグラフィックな空間の造形、簡潔でウィットに富む台詞など、パク・チャヌク独自のハードボイルドな美学に貫かれている。だが、この映画の復讐には、前二作とは異なる側面がある。それは単に主人公が女だということではない。
『復讐者に憐れみを』では、誘拐が復讐の連鎖を生み出していく。姉を失い、臓器密売組織に復讐しようとする弟は、愛娘の命を奪われた父親に復讐される立場にもある。『オールド・ボーイ』では、15年間監禁された男とそれを仕組んだ男の間で、復讐の応酬が繰り広げられる。つまり、復讐をめぐって彼らの立場は転倒する。
『親切なクムジャさん』は、復讐だけに注目するなら、その図式はシンプルだ。復讐するのはクムジャであり、復讐されるのはペク先生だ。しかし、彼女を復讐に駆り立てる動機は決してシンプルではない。
ペク先生は誘拐した少年を殺し、幼い娘を殺すと脅されたクムジャは、彼の罪をかぶって自首し、刑務所に13年間服役する。そんな彼女にとって復讐とは、必ずしも私怨を晴らすことだけではない。彼女は、ペク先生と少年の遺族の間に立ち、少年を殺した人間が背負うべき罪悪感や遺族の苦悩をも引き受けようとする。だから、極端な二面性を持ち続け、天使にも悪魔にもなる。
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◆スタッフ◆ |
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監督 |
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パク・チャヌク
Park Chan-wook |
脚本 |
チョン・ソギョン、パク・チャヌク
Jeong Seo-Gyeong, Park Chan-wook |
撮影 |
チョン・ジョンフン
Jeong Jeong-hun |
編集 |
キム・サンボム、キム・ジェボム
Kim Jae-beom, Kim Sang-Beom |
音楽 |
チョ・ヨンウク
Jo Yeong-wook |
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◆キャスト◆ |
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クムジャ |
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イ・ヨンエ
Lee Yeong-ae |
ペク先生 |
チェ・ミンシク
Choi Min-sik |
ジェニー |
クォン・イェヨン
Kwon Yea-young |
クンシク |
キム・シフ
Kim Shi-hoo |
パク・イジョン |
イ・スンシン
Lee Seung-Shin |
チェ班長 |
ナム・イル
Nam Il-woo |
伝道師 |
キム・ビョンオク
Kim Byeong-ok |
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(配給:東芝エンタテインメント) |
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