ドキュメンタリー作家ニコラウス・ゲイハルターは、普段目にすることのない領域に光をあてることによって、私たちが生きているのがどんな世界なのかを明らかにしてみせる。
『いのちの食べかた』で工業化された食糧生産の実態に迫った彼が、新作で注目するのは夜に活動する人々≠セ。ヨーロッパ十カ国を巡り、切り取られた夜の風景には、例によってナレーションや説明はなく、私たちの想像力を刺激する。
この映画でまず印象に残るのは、治安に関わる職業だ。冒頭と終盤には国境警備の模様が配置され、街中の監視や警察官の訓練の現場、さらにはロマ(ジプシー)の強制立ち退きや難民申請を却下された外国人の強制送還の執行にも目が向けられる。
そこから浮かび上がるのは、ひとつの巨大な要塞と化したヨーロッパの姿であり、内と外に振り分けられる人々の現実だ。
ではその要塞はなにを守っているのか。新生児医師から自殺防止ホットラインの相談員、老人ホームの介護職員や火葬場職員の現場に至る人の一生の間には、売春宿や盛大なビール祭り、レイヴパーティーが象徴する快楽がある。
|
|
◆スタッフ◆ |
|
監督/撮影 |
|
ニコラウス・ゲイハルター
Nikolaus Geyrhalter |
編集 |
ウォルフガング・ヴィダーホーファー
Wolfgang Widerhofer |
録音 |
レア・サビー、ヒャルティ・バゲール・ジョナサンソン、アンドレアス・ハンザ、レンカ・ミクロヴァ、ニコラス・ジョリー、エッケハルト・バウムンク
Lea Saby, Hjalti Bager-Jonathanson, Andreas Hamza, Lenka Mikulova, Nicolas Joly, Ekkehart Baumung |
リサーチ |
マリア・アラモフスキー、ルーシー・アシュトン、パトリツィア・ルッテン・フスター
Maria Arlamovsky, Lucy Ashton, Patricia Rutten-Fuster |
|
◆キャスト◆ |
|
|
|
|
|
(配給:エスパース・サロウ) |
|
|
|