[ストーリー] 8月の真夏日、父親が失踪したと知らされ、オクラホマにある実家へ集まった三姉妹。真面目すぎて暴走しがちな長女バーバラと、反抗期の娘、実は別居中の夫。ひとり地元に残り秘密の恋をしている次女アイビー。自由奔放な三女カレンと、その不審な婚約者。彼らを迎えるのは、闘病中だが気が強く、率直で毒舌家の母バイオレットと、その妹家族。生活も思惑もバラバラな“家族たち”は、つい言わなくてもいい本音をぶつけあい、ありえない“隠しごと”の数々が明るみに――。[プレスより]
ベン・アフレック主演の『カンパニー・メン』(10)で長編デビューを果たしたジョン・ウェルズ監督の新作です。原作はトレイシー・レッツの戯曲『August: Osage County』。レッツ自身が脚本も手がけています。レビューのテキストは準備中です。とりあえず簡単に感想を。
最近の映画に見られる“サザン・ゴシック・テール(Southern Gothic tale)”が気になっていることは、ジェフ・ニコルズ監督の『MUD‐マッド‐』レビューに書きました。この映画の舞台はオクラホマですが、サザン・ゴシック・テールを思わせるところがいいです。バイオレットのように破滅的ともいえるエキセントリックなキャラクターが登場し、人間のグロテスクでダークな側面が露になっていきます。
失踪する老いたベバリー(サム・シェパード)は、家政婦のジョナと面談する導入部ではまともな人物に見えますが、罪深い禍根を遺していったことがやがて明らかになります。ベネディクト・カンバーバッチが、『スター・トレック イントゥ・ダークネス』や『それでも夜は明ける』とはまったく違う、とんでもなく不器用で情けない従弟を演じ、優しい歌声を披露してもいます。
家政婦兼看護師としてウェストン家に住み込むことになるジョナを演じる女優さんをどこかで見たと思っていたら、コートニー・ハント監督の『フローズン・リバー』で、夫を事故で亡くし、赤ん坊を義母に奪われ、八方塞の状況に陥っている先住民モホーク族の女性ライラを演じたミスティ・アッパムでした。『フローズン・リバー』は、女優の演技も含めてすごく好きな映画なので、そこで注目された女優が活躍しているのを見ると嬉しくなります。
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