[Introduction] 綿密なリサーチに基づき<ジェノサイド=集団虐殺>というセンシティブなテーマに取り組んだのは、多感な十代の時にこの惨たらしい紛争を経験したヤスミラ・ジュバニッチ監督。ベルリン国際映画祭金熊賞を受賞したデビュー作『サラエボの花』(06)以降、一貫してボスニア紛争の傷跡を描き続けてきた。重い事実を今に伝える本作は、2020年ヴェネチア国際映画祭で大反響を呼び、ボスニア映画としては『ノー・マンズ・ランド』(01)以来、19年ぶりに米アカデミー賞国際長編映画賞へのノミネートを達成。インディペンデント・スピリット賞では外国語映画賞を受賞し、大手映画批評サイトのロッテントマトで100%フレッシュを獲得するなど、ジュバニッチ監督の最高傑作として絶賛を博している。
[Story] ボスニア紛争末期の1995年7月11日、ボスニア東部の街スレブレニツァがセルビア人勢力の侵攻によって陥落。避難場所を求める2万人の市民が、町の外れにある国連施設に殺到した。国連保護軍の通訳として働くアイダは、夫と二人の息子を強引に施設内に招き入れるが、町を支配したムラディッチ将軍率いるセルビア人勢力は、国連軍との合意を一方的に破り、避難民の“移送”とおぞましい処刑を開始する。愛する家族と同胞たちの命を守るため、アイダはあらゆる手を尽くそうと施設の内外を奔走するが――。(プレス参照)
ニューズウィーク日本版の筆者コラム「映画の境界線」で本作を取り上げています。その記事をお読みになりたい方は以下のリンクからどうぞ。
● ボスニア紛争、わらにもすがる思いに誰もが打ちのめされる 『アイダよ、何処へ?』
※本作は、下の関連リンクに並べたルワンダのジェノサイドに関する記事をお読みになっていると、繋がりを感じるのではないかと思います。 |