[ストーリー] 物語は、セビリア万博の会場建設が始まる1987年から92年の開催に至る時期を背景にしている。国内や海外から注目を浴びるセビリアでは、地元警察が麻薬組織の撲滅に乗り出す。その先頭に立つのが、ラファエル、アンヘル、マテオ、ミゲルの4人からなる麻薬取締第7班だ。
リーダー格のラファエルは暴力も辞さない荒っぽい捜査で売人たちを追いつめる。まだ若く未熟なアンヘルは、そんなラファエルに影響され、強引な手段をエスカレートさせていく。大きな成果をあげた彼らは、メディアの注目の的になり、大衆から支持される。その一方で、手なずけた内通者の商売に目をつむり、リッチにもなっていく。
だが、強引な捜査は多くの敵を作り、彼らはじわじわと追いつめられていく。
スペインの異才アルベルト・ロドリゲスにとって長編第5作となる『ユニット7/麻薬取締第七班』(12)は、一見、過剰なバイオレンスが売りのアクションのように見えるが、それは大きな間違いだ。この映画には社会を意識した視点も盛り込まれているし、ヒューママンドラマとしても見応えがあるし、メディアの影響にも関心が払われている。
物語はほぼ一年ごとに区切られ、年がかわるたびに建設が進む万博会場を記録した映像が挿入される。万博の経済効果は、そこに暮らす人々に様々な影響を及ぼす。
ラファエルが捜査に手段を選ばないのにはわけがある。彼は兄弟を麻薬がらみで亡くした。彼はそんな過去を引きずり、教会に通ってもいる。一方、若いアンヘルは、追跡していた売人の逆襲にあって、ナイフで首を切られそうになる。妻と生まれたばかりの赤ん坊を抱える彼は、それをきっかけにラファエルのように手段を選ばなくなる。
ふたりはチームワークを発揮するようになるが、やがてラファエルが変化する。ある日、教会の外で男ともめている麻薬中毒の娘を助けようとしたつもりが、彼女のねぐらを奪う結果になってしまう。責任を感じた彼は、彼女にねぐらを提供する。そして、久しぶりに人の心の痛みや温もりに触れ、自分のやり方に疑問を持つようになる。だが、暴走するアンヘルを止めることはできなくなっている。 |