[ストーリー] 2016年、南アフリカの犯罪多発都市ヨハネスブルグ。市警は治安維持のために、軍事企業テトラバール社が開発した警察ロボット“スカウト”を配備する。スカウトを開発したエンジニア、ディオンは、さらに意識を持ち、自ら学習する人工知能(AI)を独自に開発し、それをスカウトに搭載することをCEOのミシェルに提案するが、却下されてしまう。
自身の発明を諦めきれないディオンは、犯罪者の攻撃を受けて破損し、廃棄処分が決まっていたスカウト22号を会社から密かに持ち出し、AIをインストールしようと考える。だが、自宅にたどり着く前にストリートギャングに拉致され、彼らの監視下でロボットを起動せざるをえなくなる。ギャングたちは、成り行きで“チャッピー”と名づけられたロボットを使って大金を強奪する計画を実行に移そうとするが――。
南アフリカ出身、『第9地区』(09)、『エリジウム』(13)のニール・ブロムカンプ監督の新作です。ブロムカンプ作品の常連で、盟友のシャールト・コプリーが、モーションキャプチャーによってチャッピーを演じています。才能豊かなエンジニア、ディオンを、『スラムドッグ$ミリオネア』(08)、『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』(11)のデヴ・パテルが、ディオンのライバルで、彼とチャッピーを窮地に落として入れていくヴィンセントをヒュー・ジャックマンが、テトラバール社のCEO,ミシェルをシガーニー・ウィーヴァーが演じています。
スラムと化した地球と楽園のスペースコロニーが対置される2154年のロサンゼルスを舞台にした『エリジウム』では、仕事中の事故で大量の照射線を浴びた主人公マックスが、余命5日と宣告され、サバイバルを繰り広げます。新作のチャッピーもバッテリーの残量が5日分しかなく、生きようとすることが彼の運命を左右していきます。
『第9地区』では、エイリアンの立ち退き作業を指揮する現場責任者だった主人公ヴィカスが、誤って謎のウイルスに感染したことから次第にエイリアン化し、それと同時に自己と他者に対する認識が変化していきます。ブロムカンプ作品では、そんな白か黒かに分けられないグレーの領域が、ドラマの生命線になり、アイデンティティの揺らぎや自己と他者の認識や関係というテーマが浮かび上がってきます。 |