誰もがそれを知っている
Todos lo saben / Everybody Knows


2018年/スペイン=フランス=イタリア/スペイン語/カラー/133分/アメリカンビスタ/5.1ch
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(初出:「ニューズウィーク日本版」映画の境界線2019年5月31日更新)

 

 

スペインを舞台にしたサスペンスを装いつつ
母国イランにつきまとう違和感を再現してみせる

 

[Introduction] 息づまるほどのスリリングなストーリー展開で観る者を夢中にさせる脚本、演出の巧みさ。人間や社会を多面的に捉える確かな観察眼と、そこに隠されたテーマの奥深さ。映画に豊かな面白さを吹き込むこれらのエッセンスをすべて兼ね備えたアスガー・ファルハディ監督は、今やまぎれもなく世界中で最も注目を集めるフィルムメーカーのひとりである。アカデミー賞授賞式へのボイコットでも大きな話題となった前作『セールスマン』に続く待望の最新作は、15年前、スペイン旅行で目にした行方不明の子供の写真をきっかけに、長年構想を練り続けてきた野心作。数年来の友人であり、実生活は夫婦でもあるスター俳優ペネロペ・クルスハビエル・バルデムを主人公に当て書きして脚本を完成。世界でもすでに揺るぎない評価を確立している名匠が、それに甘んじることなく初めてのオール・スペインロケに挑み、新たな境地を切り開いた会心の一作である。(プレス参照)

[Story] アルゼンチンに暮らすラウラが、妹の結婚式のため故郷スペインに帰省しワイン業を営む幼なじみのパコや家族との再会を果たす。しかしその喜びもつかの間、結婚式の後に催されたパーティーのさなか、ラウラの娘イレーネが失踪。まもなく何者かから巨額の身代金を要求するメッセージが届き、ラウラは絶望のどん底に突き落とされる。パコは時間稼ぎに奔走し、ラウラの夫もアルゼンチンから駆けつけるが、疑心暗鬼に陥った家族の内に長年隠されていた秘密が露わになっていく...。

 ニューズウィーク日本版の筆者コラム「映画の境界線」で本作を取り上げています。その記事をお読みになりたい方は以下のリンクからどうぞ。

イランの異才がサスペンスを装って表現したかったこと|『誰もがそれを知っている』


◆スタッフ◆
 
監督/脚本   アスガー・ファルハディ
Asghar Farhadi
撮影監督 ホセ・ルイス・アルカイネ
Jose Luis Alcaine
編集 ハイデー・サフィヤリ
Hayedeh Safiyari
音楽 ハビエル・リモン
Javier Limon
 
◆キャスト◆
 
ラウラ   ペネロペ・クルス
Penelope Cruz
パコ ハビエル・バルデム
Javier Bardem
アレハンドロ リカルド・ダリン
Ricardo Darin
フェルナンド エドゥアルド・フェルナンデス
Eduard Fernandez
ベア バルバラ・レニー
Barbara Lennie
アナ インマ・クエスタ
Inma Cuesta
マリアナ エルビラ・ミンゲス
Elvira Minguez
アントニオ ラモン・バレア
Ramon Barea
イレーネ カルラ・カンプラ
Carla Campra
-
(配給:ロングライド)
 

 

 

(upload:2022/02/11)
 
 
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