LETO -レト-
LETO


2018年/ロシア=フランス/モノクロ・カラー/ロシア語・英語/129分/スコープサイズ/DCP/5.1ch
line
(初出:「ニューズウィーク日本版」映画の境界線2020年7月22日更新)

 

 

マイク・ナウメンコとヴィクトル・ツォイ
80年代初期のロシアの貴重なロック・シーンが描かれる

 

[Story] ときは1980年代前半。西側諸国(資本主義諸国)の文化は禁忌とされていたソ連時代のレニングラードでは、L・ツェッペリンやT・レックスなど西側のロックスターの影響を受けたアンダーグラウンド・ロックが花開こうとしていた。その最前線で人気を博していたバンド「ズーパーク」のリーダーであるマイク(ローマン・ビールィク)のもとにある日、ロックスターを夢見るヴィクトル(ユ・テオ)が訪ねてくる。彼の才能を見出したマイクは、共に音楽活動を行うようになるが、その一方で、マイクの妻ナターシャ(イリーナ・ストラシェンバウム)とヴィクトルの間には淡い恋心が芽生え始めていた...。

[Introduction] 第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門に正式出品され、カンヌ・サウンドトラック賞最優秀作曲家賞を受賞。その他各国の映画祭で数々の受賞&ノミネートを果たし、世界中の映画・音楽ファンを熱狂させた本作。監督は、反体制的な芸術活動が要因で無実の容疑で国に拘束され、現在もロシア政府の監視下にある前衛的な芸術家キリル・セレブレンニコフ。1年半の自宅軟禁のさなかに本作を完成させた。

 この作品は、ロシアの伝説的バンド「キノ」のヴォーカルであるヴィクトル・ツォイのデビュー期を基に、彼の音楽的才能を見出したロック・シンガーのマイク・ナウメンコ、そしてその妻ナターシャの3人をモデルとし、ペレストロイカ目前のレニングラードで純粋に自由″と音楽″を追い求めた若者達のひと夏を描く。T・レックス「Broken-Hearted blues」、トーキング・ヘッズ「サイコ・キラー」、イギー・ポップ「パッセンジャー」、ルー・リード「パーフェクト・デイ」、モット・ザ・フープル「すべての若き野郎ども」など70‘s〜80’sのロック・シーンを代表する名曲の数々が劇中を彩り、ミュージカルともMVともとれる実にユニークでスタイリッシュな映像演出でカヴァーされる点も音楽ファン垂涎の見どころ。そして、ヴィクトル・ツォイやマイク・ナウメンコが残したロシアン・ロックが、出演者による圧巻のパフォーマンスで新鮮なアクセントをもたらし、まさに最上級の楽曲たちがモノクロの世界に色を添える。 [プレスより]

 ニューズウィーク日本版の筆者コラムで本作を取り上げています。その記事をお読みになりたい方は以下のリンクからどうぞ。

80年代初期のロシアの貴重なロック・シーンが描かれる 『LETO -レト-』


◆スタッフ◆
 
監督   キリル・セレブレンニコフ
Kirill Serebrennikov
脚本 リリ・アイドバ
Lily Idov
撮影監督 ウラジスラフ・オペリアンツ
Vladislav Opelyants
音楽 ローマン・ビーウィク
Roman Bilyk
 
◆キャスト◆
 
ヴィクトル・ツォイ   ユ・テオ
Teo Yoo
マイク・ナウメンコ ローマン・ビールィク
Roman Bilyk
ナターシャ・ナウメンコ イリーナ・ストラシェンバウム
Irina Starshenbaum
-
(配給:キノフィルムズ/木下グループ)
 

 

 

(upload:2020/07/22)
 
 
《関連リンク》
キリル・セレブレンニコフ 『インフル病みのペトロフ家』 レビュー ■
ペレストロイカと自由の意味
――『タクシー・ブルース』とロック・カルチャー
■
ソビエト連邦崩壊とサブカルチャー
――『ワイルド・イースト』と『私は20歳』をめぐって
■
内と外から見たペレストロイカ
――『ゼロ・シティ』と『ロシア・ハウス』をめぐって
■

 
 
 
amazon.comへ●
 
ご意見はこちらへ master@crisscross.jp