作家のダグラス・クープランドは、エッセイ集『Polaroids from the Dead』のなかで、壁の崩壊から5年後のベルリンの状況についてこんなことを書いている。西側に憧れてきた旧東ドイツ人は、西側に幻滅し、危機感を覚えているが、彼らの目の前にあるのはもはや西側ではなく、グローバリズムの世界だ。そして、西側の人間はもっとひどい危機に直面している。なぜなら、すでに完全に消費に立脚した欲望の世界を体験し、その実体が空虚なものであることを知っているからだ。
『レボリューション6』は、そんな現実を踏まえて、「勝ち組と頑固な負け組の闘い」という図式を修正していく物語だといえる。6人のなかで、ティムやホッテの対極に位置しているのがマイクやフローだ。広告業界で成功を収めているマイクは、"I ♥ Bill Gates"のTシャツが物語るように、グローバリズムを体現し、フローは、何よりも経済的な豊かさを結婚の基準にしている。