[ストーリー] 1993年10月8日、広告代理店重役ジョー・ドーセットの人生は、はてしない悪夢にのみ込まれた。公私共に行き詰まって真夜中の中華街をさまよっていた彼は、泥酔して意識が混濁するなか、安ホテルのような一室に監禁されてしまったのだ。何者かの監視下に置かれ、ひたすら単調に流れる時間に精神を蝕まれる絶望の日々。ありえないほど理不尽な監禁生活がついに20年目に突入したある日、ジョーは突然外界に解放された。
監禁中に妻殺しの汚名を着せられたジョーは、休む間も惜しんで猛然と動き出す。愛娘ミナとの再会を果たす前に、何としても自分を陥れた犯人を捜し出し、復讐を成し遂げねばならないのだ。若く美しい女性マリーの協力を得たジョーは凄まじい執念で真相に迫るが、やがて彼の前に姿を現した犯人は、復讐のためにあらゆる人間の良心を捨てた冷酷非情な男だった――。[プレスより]
パク・チャヌクの傑作『オールド・ボーイ』(03)をスパイク・リーがリメイク。主演は、ジョシュ・ブローリン、エリザベス・オルセン、シャールト・コプリー。レビューのテキストは準備中です。とりあえず簡単に感想を。
■この題材で重要になるのは、主人公が監禁される時間です。『オールド・ボーイ』(03)のレビューで詳しく書いたように、パク・チャヌク監督は、主人公が監禁される15年と韓国社会が急激な変貌を遂げる15年間を巧みに重ね合わせています。そして、そんな変化する時代の勢いに流されるはずだった主人公は、別な人間になります。
筆者は、スパイク・リーが、独自の視点でどのように時代を区切り、アメリカ社会のどのような変化を浮き彫りにするのか楽しみにしていました。しかし、93年からの20年間には、9・11やイラク戦争、ハリケーン・カトリーナ、オバマ大統領就任などの出来事が普通に並んでいるだけでした。だから主人公と時代や社会が特別な結びつきを持つことはありません。
■プレスにはスパイク・リーの以下のようなコメントがあります。「監禁されると、ジョーは動物的な本能を取り戻していく。本能は誰もが持っているものだが、ほとんどの文明において僕たちは本能を抑制しなさい、少なくとも密室以外ではさらけ出してはいけないと教えられる。それでも僕たちの内面には本能剥き出しの動物が潜んでいるんだ」 |