[Story] 19世紀、オーストラリアのタスマニア地方。けちな盗みを働き流刑囚となったアイルランド人のクレアは、その美しい容姿と歌声から、一帯を支配する英国軍将校ホーキンスに囲われていた。クレアの夫エイデンは、彼女が刑期を終えた後も釈放されることなく、拘束されていることについて不満を持ち、ホーキンスに交渉を試みる。しかし、逆上したホーキンスはクレアを仲間達とレイプした挙句、彼女の目の前でエイデンと子供を殺害してしまう。尊厳を踏みにじられ、愛する者達を奪われたクレアは復讐を決意するが、野心と出世を目論むホーキンスはローンセストンに駐屯するベクスリー大佐に昇進を直訴するために旅立った後だった。クレアは先住民アボリジニの黒人男性ビリーに道案内を依頼し、将校らを追跡する旅に出る。危険な任務を嫌い、最初は彼女に反発しながらも謝礼金のために嫌々同行していたビリーだったが、彼女の本当の目的を知ると、自分も白人達から家族や仲間を殺されて奴隷となった過去を打ち明ける。共通の敵を持つ2人の間には強い絆が生まれてゆく――。
[Introduction] 第75回ヴェネツィア国際映画祭において、コンペティション部門唯一の女性監督作品として注目されながらも、そのあまりにも過激で衝撃的な内容が物議を醸した『ナイチンゲール』。英国植民地時代のオーストラリアを舞台に、夫と子供の命を残虐な将校らに奪われた女囚クレアの復讐の旅を描く。主人公クレアを演じるのは人気ドラマ「ゲーム・オブ・スローンズ」のリアナ・スターク役でお馴染みのアイスリング・フランシオシ。オペラ歌手でもある彼女が劇中で歌うアイルランド民謡は、観る者の胸に美しく切なく響き渡る。また、クレアからすべてを奪う残忍な将校役を『あと1センチの恋』のサム・クラフリンが熱演。
処女作『ババドック 暗闇の魔物』が高い評価を浴びた監督のジェニファー・ケントは、本作をただのリベンジ・スリラーの枠に留まらせることなく性差別や身分差別、そして、先住民アボリジニの迫害と虐殺の歴史を赤裸々に抉り出す。サム・ペキンパー監督作を彷彿とさせるリアリズムとバイオレンスで描かれる、奪われし者達の怒りの物語は、各国の映画祭で絶賛され、ケントはハリウッドで最も注目される監督の1人となった。[プレスより]
ニューズウィーク日本版の筆者コラムで本作を取り上げています。その記事をお読みになりたい方は以下のリンクからどうぞ。
● 植民地時代のオーストラリアの復讐劇、性差別、アボリジニ迫害|『ナイチンゲール』
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