この2本の映画の背景を知るために、たいへん参考になるのが、このTVドキュメンタリー『ホーム・アローン ルーマニアの悲劇(原題)』(10)だ。ルーマニア国内に仕事がないため、親がスペインやイタリア、その他の西欧諸国に働きに出る。その結果、両親の一方か両方が不在の子供たちが35万人以上いるという。
はじまりは2000年前後に、大量のルーマニア人がスペインで仕事についたことだった。仕事の大半は農場でのイチゴ摘み作業だったため、彼らは“ストロベリー・ピープル”と呼ばれるようになり、出稼ぎが他の国にも広がるにしたがって出稼ぎ労働者全般を意味する言葉になった。彼らは貴重な外貨の獲得源となり、ルーマニア経済を支えている。
しかし、残された子供たちは、孤独に苛まれ、非行や犯罪だけでなく、うつ状態から自殺に走ることも少なくない。彼らは、“ストロベリー・オーファンズ”とも呼ばれる。このTVドキュメンタリーでは、子供が自ら命を絶つという悲劇を体験した3つの家族に迫り、親と子供たちの複雑な思いを掘り下げている。
|