ドキュメンタリー作家ジャンフランコ・ロージ監督が2008年に監督・撮影・製作を兼ねて作り上げた長編デビュー作。ヴェネチア国際映画祭オリゾンティ賞、その年の最優秀ドキュメンタリーに贈られるDoc/It賞、2009年のニヨン国際ドキュメンタリー映画際のグランプリと新人賞、ワンワールド国際人権映画祭の作品賞、バーリ国際映画祭の(最優秀ドキュメンタリーに贈られる)ヴィットリア・デ・セータ賞を受賞、ヨーロッパ映画賞にもノミネートされた。
舞台はロサンゼルスの南東約200マイル、海抜マイナス120フィート、かつて海軍基地があった広大な砂漠地帯。そこに、社会に背を向け、ひとりで生きることを選んだ世捨て人たちの生活共同体がある。彼らは古いバスやトレーラーハウス、キャンピングカーに暮らし、電気も水道もない荒れ果てた土地で犬と戯れたり、便利屋をやったり、ぶらぶらしたりして日々を送っている。あまりに広いために警察もやってこないこの世界は、“アジール”と見ることもできるだろう。映画に登場する7人の人物たちは、風変わりなニックネームでお互いを呼び合い、そこにたどり着いた経緯や胸に秘めた辛い過去を語り出す。
もちろん外部の人間がいきなりそこに入り込み、カメラを向けても間違いなく受け入れられない。ロージ監督は明らかにこのコミュニティに溶け込んでいる。なぜなら、カメラが彼らの隣人であるかのような視点を獲得しているからだ。私たちは、このコミュニティの一員となったような距離感で、彼らの日常や関係を目にし、彼らが語る物語に耳を傾けることになる。自分の子供を亡くした体験を語り合う場面では誰もが胸を締めつけられるだろう。
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