[Introduction] 世界的な評価を集めるデンマークの名匠トマス・ヴィンターベア監督作品の脚本家として、『偽りなき者』(12)、『光のほうへ』(10)といった傑作に携わり、初監督作『R』(10・未)、続く『シージャック』(12)で各国の映画祭を席巻したトビアス・リンホルム監督。脚本も手掛けた新作『ある戦争』は、過酷な戦場の様子をリアルに描きながら、極限状態で問われる人間の正義と命の尊さ、そして一人の男とその家族との絆を監督独自の視線で描いた、珠玉のヒューマンドラマである。
主人公クラウスを演じるのは『シージャック』や『LUCY/ルーシー』(14)で国際的に活躍目覚ましい、デンマークを代表する名優ピルー・アスベック。妻マリア役には、『ブライアン・ジョーンズ ストーンズから消えた男』(05)のツヴァ・ノヴォトニー。献身的にクラウスを支えるマリアの孤独と葛藤を繊細に演じ、デンマークのアカデミー賞ともいえるロバート映画祭で最優秀助演女優賞を受賞している。また、主人公を冷静にサポートする弁護士役にはソーレン・マリン。人気TVドラマシリーズ「THE KILLING/キリング」でイエン・マイヤ役を演じ、日本でも人気を博した彼は、『シージャック』に続き、ピルー・アスベックと息の合った演技をみせている。(プレス参照)
[Story] 主人公は、アフガニスタンで市民を守る任務にあたるデンマークの治安部隊の隊長クラウスだ。ある日、彼が率いる部隊が、巡回中にタリバンの待ち伏せに遭い、激しい攻撃によって部下が致命傷を負う。クラウスはその部下を救うために、敵が潜むと思しき区域に空爆の命令を下す。その決断によって部下は助かるが、空爆によって幼い子供を含む11人の市民の命が失われていた。軍から起訴された彼は、法廷で裁かれることになる。
ニューズウィーク日本版の筆者コラム「映画の境界線」で本作を取り上げています。その記事をお読みになりたい方は以下のリンクからどうぞ。
● デンマーク軍兵士がアフガンで関与した平和維持という戦争の姿|『ある戦争』 |