ネヴァー・ワー・ザ・ウェイ・シー・ウォズ
/ コリン・ステットソン・アンド・サラ・ニューフェルド
Never Were the Way She Was / Colin Stetson and Sarah Neufeld (2015)

ソロの可能性に覚醒した者同士のコラボレーション
緻密な構成と鮮やかなコントラストがドラマを生み出す

　マルチ・リード奏者／作曲家のコリン・ステットソンとヴァイオリン奏者／作曲家のサラ・ニューフェルドのデュオ・アルバム。Constellationレーベルからアルバムを出しているアーティスト同士の顔合わせではありますが、決して安易なコラボレーションではありません。すごく納得できて、実際、素晴らしい作品になっています。

　コリン・ステットソンは、アーケイド・ファイアのツアー・メンバーの他、トム・ウェイツ、ボン・イヴェール、TVオン・ザ・レディオ、アンジェリック・キジョなど幅広いミュージシャンのレコーディングやライブで活動し、ソロで頭角を現わすようになりました。

　彼は循環呼吸やキーでリズムをキープする運指法、ヴォーカリゼーションなど独自の奏法を駆使して、ひとりでリズム、メロディ、ハーモニーを生み出し、“ニュー・ヒストリー・ウォーフェア／New History Warfare”３部作や『Those Who Didn’t Run』などのソロ・アルバムをリリースしてきました。

　サラ・ニューフェルドはモントリオールで音楽を勉強しているときにアーケイド・ファイアに出会って、ツアー・メンバーになり、その後、インストゥルメンタル・グループ、ベル・オルケストルの設立メンバーにもなり、さらにインディー・ロックバンド、ザ・ルーヤスにも参加するようになりました。

　その一方で、2011年からソロによる演奏や作曲を意識し、本腰を入れるようになり、2013年にファースト・ソロ・アルバム『ヒーロー・ブラザー／Hero Brother』をリリースしました。