ニュー・ヒストリー・ウォーフェア Vol.2: ジャッジズ
/ コリン・ステットソン
New History Warfare Vol.2: Judges / Colin Stetson (2011)

リード楽器と身体を極限まで駆使する
圧巻のひとりオーケストラ

　超絶技巧と想像力で聴く者／見る者を圧倒するマルチリード奏者コリン・ステットソン。2008年にリリースされた『ニュー・ヒストリー・ウォーフェア Vol.1／New History Warfare Vol.1』につづくシリーズ第二弾です。さっそくステットソンのパフォーマンスをご覧いただきましょう。

Colin Stetson | Awake on Foreign Shores & Judges | A Take Away Show from La Blogotheque on Vimeo.

　テープとかループを使っているわけではありません。循環呼吸、キーでリズムを生み出す運指法、ヴォーカリゼーション、過剰なブロウや残響、楽器の特性と身体を駆使してユニークな音楽が生み出されています。ミニマル・ミュージックのようでもあり、アルバート・アイラーのようでもあります。

Colin Stetson | Red Horse (Judge II) & In love and in Justice | A Take Away Show from La Blogotheque on Vimeo.

　ちなみにこのステットソンの演奏は、フランスのサイトLa Blogothequeが制作している“A Take Away Show”というプログラムのひとつですが、コンセプトも映像もしっかりしていて見応えがあります。ここのプログラムはどれもレベルが高いです。特に、こういう全身を駆使する演奏は撮影も難しいです。実際、YouTubeには、同じ曲の演奏でもかなりお粗末な映像があります。

　このプログラムでステットソンが演奏している＜Awake on foreign shores＞＜Judges＞＜Red Horse (Judges II)＞＜In love and in justice＞の４曲は、『New History of Warfare, Vol. 1』（08）につづく新作『New History Warfare Vol. 2: Judges』（11）に収められています。ゲストは、ローリー・アンダーソンとシャラ・ウォーデン。あの映像を見てしまったら聴きたくなるはずです。