Myra Melford - piano; Cuong Vu - trumpet; Ben Goldberg - clarinet and contra-alto clarinet; Brandon Ross - guitar and soprano guitar; Stomu Takeishi - acoustic bass guitar; Matt Wilson - drums
たとえば、ヴァイオリニストのTanya Kalmanovitchと彼女が即興で作り上げた『Heart Mountain』(2007)とか、サックス奏者Marty Ehrlichとのデュオ『Spark!』(2007)とか、藤井郷子とのデュオ『Under The Water』(2009)とか。あるいは、フルーティスト/コンポーザーのNicole Mitchell率いるBlack Earth Ensembleに関わったことも大きいかもしれない。
こうしたユニークなコラボレーションとの繋がりはいろいろ指摘できるが、特に影響が大きいのがEhrlichとの活動だ。ふたりは2000年代に入った頃からコラボレーションを続けていて、『Spark!』と『The Whole Tree Gone』では、複数の曲がダブっている。
その曲のなかでも、<A Generation Comes and a Generation Goes>(『The Whole Tree Gone』では<A Generation Comes and Another Goes>)と<I See a Horizon>には注目すべきだろう。メルフォードは、イラクの詩人Al-Jawahiriの詩にインスパイアされてこれらの曲を作った。
この詩人が1940年代のイラクで戦争についての詩を詠んだことが彼女を刺激したらしい。おそらくは、9・11以後やイラク戦争を意識していたのだろう。ということは、メルフォードは、戦争というものを踏まえたうえで、“The Whole Tree Gone”というメッセージを導き出したことになる。