ナイジェリア生まれで、アメリカで多面的な活動を展開する作家クリス・アバニの新作長編です。
舞台は現代のラスベガス。刑事のサラザールは2年前に、ホームレスの男たちの遺体が辺鄙な場所に大量に投棄されていた事件の捜査にあたったが、真相を究明することはできなかった。しかし、同じような状況で新たに少女の遺体が発見されたことから、彼は事件にのめり込んでいく。
そんなサラザールは、湖の辺で奇妙な行動をとっていたふたりの人物に疑惑の目を向ける。彼らは結合性双生児のウォーターとファイア。双生児の母親は核実験で被曝し、白血病に苦しみ自ら命を絶った。ウォーターは整った容姿を備え、ファイアはウォーターの胸の部分から頭と腕だけを突き出していた。彼らはサイドショーのフリークスとなって生活していた。彼らが使っている車からは大量の血液が入ったタンクが発見されたが、遺体はどこにも見当たらなかった。
サラザールは、二年前の事件で協力を求めた精神科医スニル・シンに連絡をとり、非協力的な双生児の鑑定を依頼する。シンはズールー族とシーク教徒の血を引き、アパルトヘイト時代の南アフリカで育ち、アメリカに渡った。研究所で軍のためにある薬物の開発を進めている彼は、過去に深くとらわれ、またその過去をよく知る人物から命を狙われてもいた。
レビューのテキストは準備中です。最近のアフリカ文学のルネッサンスの一翼を担う作品です。
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