1961年、米国カリフォルニア州ロサンゼルス生まれ。少年時代から芸術に強い興味を抱き、アマチュア映画を撮り始める。ブラウン大学では美術と記号学を専攻。87年、短編映画『Superstar: The Karen Carpenter Story』を監督(脚本も)。カレン・カーペンターが拒食症で死に至るまでを、俳優ではなく人形を使って描いたこの作品は、サンフランシスコ映画祭ゴールデン・ゲイト賞、USA映画祭(後のサンダンス映画祭)実験映画賞を受賞するなど、高い評価を得る一方で、センセーションも巻き起こす。だがその後、音楽著作権をめぐってリチャード・カーペンターが訴えを起こしたため、現在ではほとんど一般の目に触れることのない、正真正銘の幻の傑作となった。91年の『ポイズン』で長編映画デビュー(脚本・編集も)。ジャン・ジュネの作品にインスパイアされたこの映画もまた、ポルノだとする極右からの攻撃に遭い、論議を巻き起こす。同作は20を超える映画祭で上映され、サンダンス映画祭審査員大賞、ベルリン映画祭テディ賞、ロカルノ映画祭批評家賞を受賞し、ヘインズの名は一躍世界中の映画ファンの間で広く知られるようになった。