[Introduction] 『プレシャス』、『ペーパーボーイ 真夏の引力』、『大統領の執事の涙』のリー・ダニエルズ監督最新作。原作は、イギリス・スイス系の作家/ジャーナリストのベストセラー『麻薬と人間 100年の物語――薬物への認識を変える衝撃の真実』の第1章「アメリカvs.ビリー・ホリデイ」。1959年に44歳の若さで亡くなったジャズシンガー、ビリー・ホリデイの人生には、ドラッグ、アルコール、暴力を振るう夫たちなど悲劇がつきまとうが、本書はそんな彼女に異なる光をあてている。連邦麻薬局を率いたハリー・J・アンスリンガーが、黒人へのリンチに抗議する「奇妙な果実」を歌わないようホリデイを脅かし、彼女のドラッグの問題を利用して追いつめた。ホリデイは公民権運動の先導者のひとりでもあった。
ビリー・ホリデイを、ブラック・ライヴズ・マター運動のデモでも歌われた「ライズ・アップ」でグラミー賞にノミネートされた歌手のアンドラ・デイ、ハリー・J・アンスリンガーを『オン・ザ・ロード』のギャレット・ヘドランド、次第にホリデイに惹かれていく黒人の捜査官ジミー・フレッチャーを『ムーンライト』のトレヴァンテ・ローズが演じる。(プレス参照)
[Story] 1947年、ニューヨークのクラブ”カフェ・ソサエティ”でパフォーマンスを繰り広げていたビリー・ホリデイは、夫やマネージャーから「奇妙な果実」を歌うなと言い渡される。彼らに圧力をかけたのは、連邦麻薬局長のハリー・J・アンスリンガーだった。人種差別の撤廃を求める公民権運動を煽るといわれている「奇妙な果実」を危険視した彼は、ホリデイを麻薬使用の罪で追い込もうと画策し、黒人の捜査官ジミー・フレッチャーにおとり捜査を命じ、ファンを装って彼女に接近させる。フレッチャーは彼女を現行犯逮捕するが、次第に彼女に惹かれていく。やがて出所したホリデイは、連邦麻薬局によってニューヨークでの労働許可証を取り上げられてしまい、全米ツアーへと旅立つが――。
本作の劇場用パンフレットに、リー・ダニエルズ監督寄りの作品評を寄稿しています。劇場で本作をご覧になりましたら、ぜひパンフもお読みください。 |