トレヴィの泉で二度目の恋を
Elsa & Fred


2014年/アメリカ/カラー・モノクロ/97分/スコープサイズ/ステレオ
line
(初出:)

 

 

アルゼンチン映画『エルサ&フレド』を
マイケル・ラドフォード監督がリメイク

 

[ストーリー] 晩年を迎えつつあるエルサは、人生でまだ叶えていない夢があった。それは、ローマのトレヴィの泉へ行き、映画『甘い生活』でフェデリコ・フェリーニ監督が描いたような甘美なシーンに自分も立ってみたい、という夢――。

 80歳のフレッドは失意の中にいた。7ヵ月前に長年連れ添った妻が先立ち、娘のリディアに勧められて、心機一転、住み慣れた家から小さなアパートメントへ引っ越すが、心は沈んだまま――。

 アパートから一歩も出ずに過ごすフレッドを変えたのは、隣に住むエルサだった。けれど出会いは最悪。引っ越し早々、フレッドの娘夫婦の車のヘッドライトを壊してしまったエルサは、リディアと口論になったうえ修理代金を請求されてしまう。長男が用意してくれた小切手1,500ドルを持ってしぶしぶフレッドの家を訪ねたエルサは、いつものクセでつい小さな嘘――ずっと未亡人で、今は年金で孫たちを5人も養っているという、全くの作り話をしてしまう。彼女の嘘をあっさり信じて気の毒に思ったフレッドは小切手をエルサに返す。彼の意外な行動に驚きつつ、その優しさにエルサの心はゆれ動いた。最初に抱いた偏屈なジジイという印象はいつの間にか気になる存在へと変わっていく。

 マイケル・ラドフォード監督の『トレヴィの泉で二度目の恋を』は、マルコス・カルネバーレ監督、チナ・ソリージャ、マヌエル・アレクサンドレ共演のアルゼンチン映画『エルサ&フレド』(05)のリメイクです。エルサとフレッドを演じているのは、シャーリー・マクレーンとクリストファー・プラマー。マクレーンは、『バーニー/みんなが愛した殺人者』(11)や『LIFE!』(13)、プラマーは『人生はビギナーズ』(10)や『ドラゴン・タトゥーの女』(11)など、最近も活躍が目立っています。この映画では、そんな名優の息の合った演技が見所になります。

 物語は大筋ではオリジナルと変わりませんが、細かな部分にメリハリをつけるような変更が加えられています。プラマーはオリジナルのマヌエル・アレクサンドレとはまったくイメージが違うので、もっと頑固で無愛想でなかなか笑わない人物に変えられています。


◆スタッフ◆
 
監督/脚本   マイケル・ラドフォード
Michael Radford
脚本 アンナ・パヴィニャーノ
Anna Pavignano
撮影 マイケル・マクドナフ
Michael McDonough
編集 ピーター・ボイル
Peter Boyle
 
◆キャスト◆
 
エルサ   シャーリー・マクレーン
Shirley MacLaine
フレッド クリストファー・プラマー
Christopher Plummer
リディア マーシャ・ゲイ・ハーデン
Marcia Gay Harden
レイモンド スコット・バクラ
Scott Bakula
ジャック クリス・ノース
Chris North
マックス ジェームズ・ブローリン
James Brolin
ジョン ジョージ・シーガル
George Segal
ラヴァーン エリカ・アレクサンダー
Erika Alexander
アルマンデ ウェンデル・ピアース
Wendell Pierce
マイケル ジャレッド・ギルマン
Jared Gilman
-
(配給:アルバトロス・フィルム)
 

 オリジナルのフレドは、アパートで犬と暮らしていますが、リメイクでは家政婦が登場します。エルサとフレッドの距離を縮めるきっかけになる水道管の故障のエピソードや、エルサがピカソのモデルになったことがあるという話もオリジナルにはありません。

 クライマックスのトレヴィの泉のシーンは、リメイクのほうが華麗に描かれています。アニタ・エクバーグが亡くなったこともあり、このシーンには感慨深いものがあります。


(upload:2015/01/24)
 
 
《関連リンク》
マルコス・カルネバーレ 『エルサ&フレド』 レビュー ■

 
 
amazon.comへ●
 
ご意見はこちらへ master@crisscross.jp