[ストーリー] 晩年を迎えつつあるエルサは、人生でまだ叶えていない夢があった。それは、ローマのトレヴィの泉へ行き、映画『甘い生活』でフェデリコ・フェリーニ監督が描いたような甘美なシーンに自分も立ってみたい、という夢――。
80歳のフレッドは失意の中にいた。7ヵ月前に長年連れ添った妻が先立ち、娘のリディアに勧められて、心機一転、住み慣れた家から小さなアパートメントへ引っ越すが、心は沈んだまま――。
アパートから一歩も出ずに過ごすフレッドを変えたのは、隣に住むエルサだった。けれど出会いは最悪。引っ越し早々、フレッドの娘夫婦の車のヘッドライトを壊してしまったエルサは、リディアと口論になったうえ修理代金を請求されてしまう。長男が用意してくれた小切手1,500ドルを持ってしぶしぶフレッドの家を訪ねたエルサは、いつものクセでつい小さな嘘――ずっと未亡人で、今は年金で孫たちを5人も養っているという、全くの作り話をしてしまう。彼女の嘘をあっさり信じて気の毒に思ったフレッドは小切手をエルサに返す。彼の意外な行動に驚きつつ、その優しさにエルサの心はゆれ動いた。最初に抱いた偏屈なジジイという印象はいつの間にか気になる存在へと変わっていく。
マイケル・ラドフォード監督の『トレヴィの泉で二度目の恋を』は、マルコス・カルネバーレ監督、チナ・ソリージャ、マヌエル・アレクサンドレ共演のアルゼンチン映画『エルサ&フレド』(05)のリメイクです。エルサとフレッドを演じているのは、シャーリー・マクレーンとクリストファー・プラマー。マクレーンは、『バーニー/みんなが愛した殺人者』(11)や『LIFE!』(13)、プラマーは『人生はビギナーズ』(10)や『ドラゴン・タトゥーの女』(11)など、最近も活躍が目立っています。この映画では、そんな名優の息の合った演技が見所になります。
物語は大筋ではオリジナルと変わりませんが、細かな部分にメリハリをつけるような変更が加えられています。プラマーはオリジナルのマヌエル・アレクサンドレとはまったくイメージが違うので、もっと頑固で無愛想でなかなか笑わない人物に変えられています。
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