[ストーリー] タクシーがテヘランの活気に満ちた色鮮やかな街並みを走り抜ける。運転手は他でもないジャファル・パナヒ監督自身。ダッシュボードに置かれたカメラを通して、死刑制度について議論する路上強盗と教師、一儲けを企む海賊版レンタルビデオ業者、交通事故に遭った夫と泣き叫ぶ妻、映画の題材に悩む監督志望の大学生、金魚鉢を手に急ぐ二人の老婆、国内で上映可能な映画を撮影する小学生の姪、強盗に襲われた裕福な幼なじみ、政府から停職処分を受けた弁護士など、個性豊かな乗客達が繰り広げる悲喜こもごもの人生、そして知られざるイラン社会の核心が見えてくる。
世界三大映画祭を制覇したイランの名匠ジャファル・パナヒ監督は、政府に対する反体制的な活動を理由に、2010年から20年間の映画製作・海外旅行・マスコミとの接触禁止を命じられている。しかしそれでも彼の創作意欲は衰えず、許可なく製作をつづけている。
ベルリン国際映画祭で金熊賞に輝いた新作『人生タクシー』では、パナヒ監督自身がテヘランを走るタクシーの運転手に扮し、ダッシュボードに置かれたカメラを通して、現代イランを生きる人々の姿が映し出される。
ニューズウィーク日本版の筆者コラム「映画の境界線」で本作を取り上げています。その記事をお読みになりたい方は以下のリンクからどうぞ。
● タクシー運転手に扮して、イラン社会の核心に迫った | 『人生タクシー』 |