ぼくとアールと彼女のさよなら
Me and Earl and the Dying Girl


2015年/アメリカ/カラー/106分/スコープサイズ/ドルビーデジタル
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(初出:)

 

 

新鋭アルフォンソ・ゴメス=レホン監督の長編第2作
白血病の少女と名作映画のパロディとイニシエーション

 

 マーティン・スコセッシ、ノーラ・エフロン、アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥらのアシスタントを務め、『The Town That Dreaded Sundown』(14)で長編デビューを果たした新鋭アルフォンソ・ゴメス=レホン監督の第2作です。原作はジェシー・アンドリュースが2012年に発表した青春小説で、アンドリュース自ら脚色しています。映画はサンダンス映画祭で大賞と観客賞に輝いています。

[ストーリー] 主人公のグレッグは、スクールカーストを半ば恐れ、半ば嫌い、表面的には周囲に迎合しつつ、どこにも属さず、友だちを作らないというポリシーを貫いている。彼は黒人の同級生アールと密かに名作映画のパロディを作り続けているが、アールを「友だち」ではなく「同僚」と位置づけている。

 そんなある日、母親からクラスメートのレイチェルが白血病であることを知らされ、親しくもない彼女を励ますように執拗に説得される。グレッグとレイチェルの関係は最初はぎこちないが、そこにアールも加わり、秘密のパロディ映画を共有するうちに打ち解けていく。だが、レイチェルの病状は着実に悪化し――。

 スティーブン・チョボスキー『ウォールフラワー』(12)やジョシュ・ブーン『きっと、星のせいじゃない』(14)に通じる魅力を持った作品ですが、長回しやストップモーションアニメの効果、それぞれの人物に対する洞察やひねりの効いたユーモアなど、独自のスタイルと話術が確立されています。グレッグがレイチェルの運命と向き合っていくことが、イニシエーション(通過儀礼)に繋がっていく展開が素晴らしいです。ブライアン・イーノやニコ・ミューリーの音楽もはまってます。


◆スタッフ◆
 
監督   アルフォンソ・ゴメス=レホン
Alfonso Gomez-Rejon
原作/脚本 ジェシー・アンドリュース
Jesse Andrews
撮影 チョン・ジョフン
Chung-hoon Chung
編集 デヴィッド・トラクテンバーグ
David Trachtenberg
音楽 ブライアン・イーノ、ニコ・ミューリー
Brian Eno, Nico Muhly
 
◆キャスト◆
 
グレッグ   トーマス・マン
Thomas Mann
アール RJ・サイラー
RJ Cyler
レイチェル オリヴィア・クック
Olivia Cooke
グレッグのパパ ニック・オファーマン
Nick Offerman
グレッグのママ コニー・ブリットン
Connie Britton
デニス モリー・シャノン
Molly Shannon
マッカーシー先生 ジョン・バーンサル
Jon Berbthal
マディソン キャサリン・ヒューズ
Katherine Hughes
-
(配給:未公開)
 

 

(upload:2015/12/23)
 
 
《関連リンク》
ジョシュ・ブーン 『きっと、星のせいじゃない』 レビュー ■
スティーブン・チョボスキー 『ウォールフラワー』 レビュー ■

 
 
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