[Introduction] エリオット・ペイジとアリソン・ジャネイが共演したデビュー作『タルーラ 〜彼女たちの事情〜』で高く評価された女性監督シアン・ヘダーが、2014年製作のフランス映画『エール!』をリメイク。サンダンス映画祭で史上最多4冠に輝いた話題作。
主人公のルビーには、大ヒットTVシリーズ「ロック&キー」で一躍人気のエミリア・ジョーンズ。共演は『シング・ストリート 未来へのうた』の主役でも話題のフェルディア・ウォルシュ=ピーロ。ルビーの家族を演じるのは、オスカー女優のマーリー・マトリンを始め全員が実際に聞こえない俳優たち。
[Story] 豊かな自然に恵まれた海の町で暮らす高校生のルビーは、両親と兄の4人家族の中で一人だけ耳が聞こえる。陽気で優しい家族のために、ルビーは幼い頃から“通訳”となり、家業の漁業も毎日欠かさず手伝っていた。新学期、秘かに憧れるクラスメイトのマイルズと同じ合唱クラブを選択するルビー。すると、顧問の先生がルビーの歌の才能に気づき、都会の名門音楽大学の受験を強く勧める。だが、ルビーの歌声が聞こえない両親は娘の才能を信じられず、家業の方が大事だと大反対。悩んだルビーは夢よりも家族の助けを続けることを選ぶと決めるが、思いがけない方法で娘の才能に気づいた父は、意外な決意をし...。
[以下、本作の短いレビューになります]
エリック・ラルディゴ監督のフランス映画『エール!』(14)のリメイク。オリジナルの主人公一家は農村で酪農を営んでいたが、リメイクでは、マサチューセッツ州の海辺の町が舞台になり、ロッシ一家は漁業を営んでいる。物語の大きな流れは変わらないが、設定やキャラクターに様々な変更が加えられ、よりリアルで洗練された作品になっている。
オリジナルでは、ヒロインの父親が、現村長が進める工場の建設計画に反対し、農地や森林を守るために村長選に立候補するが、争点となる問題よりも村長選をユーモラスに描くことに力点が置かれていた。
本作では、家業である漁業と家族がもっと密接に関わっている。ヒロイン、ルビーの父親は、漁師のコミュニティのなかで引け目を感じているところがあり、それが仲卸業者との取引でも不利に働いている。だから子供たちは、捕った魚を業者を通さずに販売することを考えるようになる。また、無線に応答できる健常者が同乗しなければ、免許停止になるなど、ルビーの存在がより重要になっている。 |