[Introduction] これまで主にマラヤ―ラム語映画界で俳優として活躍してきたムハンマド・ムスタファが監督に進出した長編デビュー作であり、共同脚本も手掛け、出演もしている。高地の村に暮らすヒロイン、ジェシーがかけた間違い電話が、港湾都市コジコードで働くヴィシュヌとの出会いのきっかけになるが、電話を通して発展するロマンスはやがてスリラーに変わる。ジェシーを、『Kumbalangi Nights』(19)、『Helen』(19)のアンナ・ベン、ヴィシュヌを、『息がつまりそう』(20)、『C U Soon』(20)のローシャン・マテュー、ヴィシュヌに代わってジェシーの前に現れる謎の男ロイを、『Anjaam Pathiraa』(20)、『Sumesh & Ramesh』(21)のスリーナト・バーシが演じる。
[Story] ケーララ州ワヤナード地区の高地にある小さな村で両親と暮らすジェシーは、第12学年の修了試験に失敗し、母親の洋裁の仕事を手伝う毎日を送っている。ある日、母親から顧客への電話を頼まれた彼女は、番号を間違えてかけてしまう。電話に出たのは、港湾都市コジコード(旧名カリカット)で三輪タクシーの運転手として働くヴィシュヌだった。ジェシーは間違いを謝罪し、すぐに電話を切るが、それから彼は何度も電話をかけてくるようになる。最初は相手にしていなかったジェシーだが、たまたま彼女が家族とやっていたなぞなぞを、電話をしてきたヴィシュヌが耳にし、こっそり答えを教えたことがきっかけで、毎日のように話をするようになり、恋心が芽生える。
そんなとき、ジェシーと村に店を構えるベニーの縁談話が持ちあがり、両親に本心を打ち明けるためにもヴィシュヌと会わなければならないと考えた彼女は、コジコードのバス停で落ち合う約束をして旅立つ。だが、ヴィシュヌのスマホを持ってバス停に現れたのは、ロイという別の男性で、ジェシーは予想もしない出来事に巻き込まれていくことになる。
▼ ジェシーを演じるアンナ・ベンのインタビュー
本作を観ていて頭をよぎったのが、同じマラヤーラム語映画であるジヨー・ベービ監督の長編デビュー作『トゥー・ガールズ(英題)/2 Penkuttikal』(16)のこと。小学6年生のふたりの少女が主人公で、設定などはまったく違うが、女性の立場について共通するものを感じる。 |